ラグビー愛好日記

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このブログについて

プロフィール写真【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。

2019年03月22日

サンウルブズ、スーパーラグビーへの参加は2020年まで

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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サンウルブズが、2020年シーズンを最後にスーパーラグビーから離れることが、スーパーラグビーの大会運営主体であるSANZAARより発表された。スーパーラグビーは、2021年より、14チーム総当たりで行われる。過去18カ月議論が繰り返されてきた中での結論だ。SANZAARは、南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチンのラグビー協会が出資するジョイントベンチャー。サンウルブズはお客さん扱いだった。スーパーラグビーの人気低下に歯止めをかけ、上向きにするためにチーム数を削減して分かりやすいフォーマットで再出発したいという流れの中で、移動距離も各チームの負担になり、戦績も振るわないサンウルブズを除外するという案が出てくるのは当然のことだろう。

14チームにして放映権料を引き上げようするSANZAARとしては、もし15チームのままで行くのであれば、引き上げられない分の放映権料を日本側(サンウルブズを運営する一般社団法人ジャパンエスアール=JSRA、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会=JRFU)に負担してほしいと求めた。残りたいのであれば資金を提供してほしいということだ。しかし、サンウルブズは放映権料の分配を受けてないし、財政面でも苦しい状況で参加していた。資金提供は難しい選択だろう。

日本ラグビーフットボール協会のプレスリリースにはこうある。

「JSRA とJRFUに対して新たに相当額の資金提供が必要となる内容で、それを受け入れることは JSRA とJRFU の今後の経営に大きく影響を及ぼすのみならず、日本ラグビー全ての活動にも支障を来たすことが懸念されました。そのためJRFUならびにJSRAは SANZAAR からの経済的条件を許諾できない旨を伝えた上で、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズがスーパーラグビーの将来的な成長に果たす意義やサンウルブズファンの拡大や安定的な集客状況等を説明し、2021年シーズン以降の継続的な参戦を希望して来ました」

とことん継続参加の道を考えたのか疑問だし、サンウルブズのサポート体制が一枚岩ではなかったことも確かだろう。しかし、結論は出てしまった。サンウルブズを応援し続けた人々にとって、これほど残念なことはない。シンガポールでは明日(3月23日)、サンウルブズ対ライオンズの試合が行われる。前日の会見ではサンウルブズのトニー・ブラウンヘッドコーチに対しても、この件の質問が出たが「それは運営側の答えること。我々は試合に全力尽くす」として多くを語らなかった。

忘れてはいけないのは、サンウルブズのスーパーラグビー参戦の目的は日本代表強化、日本ラグビーのレベルアップのためだということだ。スーパーラグビーという舞台を失った後、どのようにして日本代表を強化していくのか。日本ラグビーフットボール協会は強化についての新たなビジョンを示さなくてはいけない。2020年のサンウルブズをどんなメンバー編成で戦うのか、日本ラグビーの未来に資する方法を熟慮しなければならない。トップリーグについても、毎年のようにフォーマットを変えるのをやめて、日本ラグビーを引っ張るリーグとして、安定的に運営できる方法を考えていかなくてはいけない。足元がぐらついていては、スーパーラグビー参戦のようなチャンスを得ても、再び同じようなことが起きてしまうだろう。

■ジャパンエスアール代表理事CEOの渡瀬裕司氏のコメント
「サンウルブズを代表し、今回の決定には大変落胆をしています。サンウルブズは2016年よりスーパーラグビーに参戦し、日本ラグビーの強化という観点で大変重要な役割を果たしてきました。今までサンウルブズを応援して下さった世界最高のファンの皆様及びスポンサー様はじめ関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。また2020年シーズンまで、日本ラグビーが世界の最先端にいることを証明するために、我々と共に戦って頂けますと幸いです。加えて、我々はこの決定に至るまでにサポートをしてくださった公益財団法人日本ラグビーフットボール協会及び議論して頂いたSANZAARに対して感謝を申し上げます。サンウルブズは今後も、選手、スタッフそして運営スタッフ全員で、引き続き最高の試合をお見せすること、そしてサンウルブズの価値を高めるための努力をしてまいります。引き続きご支援ご声援を頂けますようお願い申し上げます」

■公益財団法人日本ラグビーフットボール協会専務理事 坂本典幸氏のコメント
「ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズに、日ごろ声援をいただいているファンの皆様、またご支援をいただいている各社様には大変申し訳ない気持ちで一杯です。2016 年以降、日本代表の強化を目的に、日本では初めてのプロラグビーチームを結成し、世界最高峰リーグに挑んできました。その結果、日本のラグビーは革新的な進歩を遂げることができました。こうした成果が引き続き得られることを期待する皆様の思いを胸に、2021年以降の契約が締結できるように交渉を続けてきましたが、経済的な条件が折り合わず、SANZAAR との契約合意には至りませんでした。一方で、今年はラグビーワールドカップ 2019 日本大会が開催され、ベスト 8 以上を目標に選手たちは厳しい合宿を繰り返し行っています。また、ネーションズ・チャンピオンシップの開催、参加に向け、ワールドラグビーや各協会と交渉を続けております。そして国内にはジャパンラグビー トップリーグが毎年レベルを上げて存在しています。今後の日本ラグビー界は今まで以上に発展していくと信じて止みません。これからも日本ラグビーへの変わらぬご支援、ご協力を宜しくお願い申し上げます」

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