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1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB（センター）、FB（フルバック）。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」（岩波ジュニア新書）、「空飛ぶウイング」（洋泉社）、「ハルのゆく道」（道友社）、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」（あかね書房）などがある。
サンウルブズが、ようやく今季初勝利をあげた。秩父宮ラグビー場には、小雨のぱらつく天候のなか、12,940人の観客が訪れた。この数字は、昨年のホームゲームから数えて一番少ないが、5連敗の成績では致し方ないところかもしれない。昨年もそうだったのだが、チーターズ戦での記録的大敗の後に、初勝利は突然やってきた。そして、今回も、開幕戦からFWの軸として活躍していたエドワード・カークが怪我、ヴィリー・ブリッツが父親の急逝によって帰国。2人の欠場で強力FWのブルズに対して苦しい戦いになるかと思われたが、サンウルブズは、FL松橋周平、徳永祥尭、NO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコというフレッシュなFW第三列がそれぞれの持ち味を出して健闘。満を持してサンウルブズのデビューを飾ったFB松島幸太朗が安定したハイパントキャッチ、スピーディーな走りでチャンスを作り、第2節以来の出場となったSH田中史朗が冷静な判断でパスをさばいた。
試合内容は、サンウルブズの公式ホームページにもレポートを書くので、こちらは感想だけにしたいが、後半投入されたSO田村優が「ラグビーが楽しかった」と久しぶりの試合の楽しみつつ、的確にゲームをコントロール。同じく後半に投入された、LOサム・ワイクス、FL布巻峻介、PR稲垣啓太、HO木津武士ら控え選手が勢いを与え、逆転につなげた。キックの応酬時に課題だったディフェンスも大きく改善され、攻撃時のキックの使い方も整理されていた。ブルズのアドリアン・ストラウスキャプテンが、「サンウルブズはストラクチャーのしっかりしたラグビーをしていた」と称賛していたが、80分間、各選手が与えられた役割を遂行した勝利だった。
なにより、サンウルブズを応援し続けたファンの皆さん、チームを支えたスタッフが報われたと思う。本当に良かった。気持ちが明るくなる貴重な勝利だ。これで今後の戦いも思い切ってチャレンジできるし、日本代表にもポジティブな影響を与えるだろう。僕はJSPORTSで、実況の矢野武さん、ゲスト解説の山田章仁選手と一緒に興奮しながら解説をさせてもらった。山田選手は、ずっと体を動かしていた。一緒に戦っていたのだ。現役選手はだいたいこうなる。楽しい時間だった。
追記◎試合後、ブルズのストラウス主将がサンウルブズの戦いを称え、観客の皆さんに感謝の言葉を述べていた。スーパーラグビーで学ぶべきは、グラウンドの中だけのことではなく、敗れたチームが相手や観客をリスペクトする態度だ。相手がPGを狙う時も静かにするということが、すべての国で守られているわけでなないが、日本ラグビーは大切にしてきたし、これからも守っていきたいマナーだ。特に、2019年のラグビーワールドカップでは必ずしなければいけないこと。ブルズの選手がPGを狙う時にも狼の遠吠えがあったのは残念だった。スーパーラグビーは、国代表同士のテストマッチよりも雰囲気は柔らかく、セブンズの大会にも似た楽しい観戦がひとつの売り。だから、ここは運営側も難しいところだと思うが、プレースキックの時は静かにするように促してもいい気がする。サンウルブズのプレーを後押しする声と、相手のプレーを邪魔する声はまったく違う。観客席が世界から尊敬されることも、これから日本ラグビーが強豪国の仲間入りをしていくために必要なことだと思うのだ。
◇スーパーラグビー2017第7節・結果
秩父宮ラグビー競技場
14:15キックオフ
サンウルブズ○21-20●ブルズ（前半11-10）