ラグビー愛好日記

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2012/08

S M T W T F S
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

このブログについて

プロフィール写真【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。

日記 2012年08月13日

ラックの5秒ルール

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
  • Line

コメント欄に試験的ルールについてのご質問がありました。トップレフリーの研修会などにも出席させてもらったので、改めて、ラックの5秒ルールについて書いてみます。質問が以下のようなものでした。

「ラックの5秒ルールですが、レフェリーがユーズ・イットの声をかけた後に、相手選手の手が伸びてきて出せないというケースが考えられると思います。この場合、どういうジャッジになるんでしょうか?」

ラックでレフリーが「ユーズ・イット」と声をかけるのは、明らかにボールを出せる状態になったときなので、ラックの終了という意味ではありません。ラックでは手を使えませんので、そのボールに相手チームが手をかけるなどの邪魔をすれば、ハンドやオフサイドの反則になるはずです。レフリーは、明らかにボールが利用できる状態でしか声をかけないので、そこからボールが出ないというのは、あまり起きない現象だと思います。もし、出さなければ、相手ボールのスクラムになります。相手ボールになったときのレフリーのジェスチャーもありません。レフリーは、ただ相手ボールのスクラムを命じるだけになります。

あえて言うなら、ユーズ・イットの声がかかった後に相手のプレーによってボールが出せなくなるのは、カウンターラックのときです。つまり、正当に押し込むことによって、ボールを乗り越えてターンオーバーする動きです。「ユーズ・イット」の声は、あくまでも、ボールを故意に停滞させたり、時間の空費を防ぐためのもので、声がかかったあとの正当なボールの奪い合いは、そのままプレー続行となります。

網走の夏合宿で行われていたトップリーグの練習試合を見る限り、5秒で出さずに相手ボールになった例はありませんでした。完全にボールが出せる状態になれば、普通はボールを出すからです。このルールが想定しているのは、ノーサイド間際に、リードしている側が故意に時間を使うときだと思いますので、このルールに関しては、ストレスなく観戦できると思います。

  • Line