ラグビー愛好日記

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このブログについて

プロフィール写真【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。

日記 2012年07月19日

総合格闘技トレ

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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19日も日本代表の菅平合宿を取材した。この日、注目されたのは、元総合格闘家の髙阪剛さん(42歳)による、トレーニングだった。

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FWとBKに分かれてたっぷり、1時間半と1時間。低い姿勢でターンし、素早く前に出るタックルの技術などのトレーニングが行われた。慣れない動きに選手たちも四苦八苦。「上半身と下半身は連動している」と、相手とコンタクトする際の姿勢によって、足が出なくなるなど、細かな身のこなしも指導されていた。

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軽快な動きをしていた大野均選手は、「新鮮ですね」と清々しい表情で感想を語った。「低くタックルするように指導されますが、どうやればいいかを細かく教えてくれました。大きな選手の懐に入り込むコツもあり、日本代表が世界と戦うときにも役立つと思います。足の運びは参考になりました。下半身がついていかないと前に出られませんから。パワーで対抗するのではなく、技術で対抗するという意味でも応用できると思います」

今回のセッションは、エディー・ジョーンズヘッドコーチと、ジョン・プライヤー ストレングス・コンディショニングコーディネーターの要望によって実現した。今回の合宿では素早くしゃがみこみ、低い姿勢で前に出るトレーニングが多い。総合格闘技から得られるものは多いという判断だろう。アメリカでもプロとして戦い、日本屈指の総合格闘家である髙阪さんは、流通経済大学ラグビー部の内山監督と友人で、流経大の指導をした経験がある。しかし、他のスポーツも含めて代表チームを指導するのはこれが初めて。

日本代表スタッフからは、「自由にやってください。できれば、低いタックルに入るコツを意識づけできるものも、含んでもらえれば」と言われ、普段通りのメニューを基本に指導した。FWとBKの選手で指導の仕方が違っていたのだが、「骨格と重さによって、意識するところも違ってきますから」と説明。「本当は重心をどこに置けば足が出るかは、人によって違うので、個別に指導したいのですけどね」と、今回は、シンプルに体全体を使って前に出るコツを伝授したという。

トレーニングの最後に髙阪さんは、自身の経験談を選手に話した。「アメリカで戦っているとき、相手は190㎝以上で、110㎏〜120㎏クラス。僕より小さな選手と戦ったことはありません。2mの相手を前に、ちょっとでも下がったら負ける。1㎝でも前に出るためには、自信を持つこと。それは練習でしか身に着かない。相手より100倍練習して、絶対負けないという気持ちを持たないといけないんです」

報道陣に対しても同じことをコメントし、「前に一歩出るというのは、すべての競技に大切なことですよね」と言っていた。

最後に、誰か総合格闘技向きの選手はいましたか?と質問してみると、「全員ほしいですよ」。ただ、ラグビー選手の体でもう少し大きくできるのはと思うところは?という質問には、「胴回りはもっと太くできるのではないですか。強い格闘家はドラム缶みたいな体をしていますから」という答え。ふと、サントリーのジョージ・スミス、元オーストラリア代表のフィル・ウォー、元イングランド代表のニール・バックら、歴代の名フランカーの体が頭に浮かんだ。フィル・ウォーなんて、冷蔵庫みたいだったもんなぁ。興味深いトレーニングだった。

追記◎トップリーグの2013年度からの新方式については、さまざまなメディアで報道されているので、また改めて書きたい。昨日の夕方、宿泊先のお母さんに、峰の原のサンセットテラスに連れて行ってもらった。ちょっとだけ遅かったのだが、ご紹介しておきたい。一番びっくりしたのは、これを見ていると、あっという間に30分が過ぎたこと。そして、夜に満天の星を眺めたときも、瞬く間の30分だった。綺麗で澄んだ景色は時間を忘れる。

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