ラグビー愛好日記

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2007/02

S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28      

このブログについて

プロフィール写真【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。

試合レポート 2007年02月12日

TL入替戦結果

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
  • Line

きのうの日記に書くのを忘れていたのだが、日本選手権2回戦の試合後、印象的だったのが記者会見場のテレビカメラの多さだった。6社あったかな。最近、あきらかに取材にのカメラ台数が増えている。日本選手権決勝戦の前売り券もほとんど売れてしまっているようだ。楽観的な僕はラグビーへのいい流れをびんびん感じている。

月曜日は秩父宮ラグビー場にいた。もちろん、トップリーグの入替戦を観るためである。スタンドには多くのお客さんが詰めかけていた。第2試合のリコー対ホンダの試合時には、入替戦としては多い観衆4,687人の発表だから、ラグビーファンのみなさんは僅差勝負の匂いを感じていたようだ。その通り、第1試合の日本IBM対近鉄戦は、最後まで緊迫感あふれる勝負になった。

序盤は日本IBMがFB高のPG、FL伊藤のトライなどで16-0とリードする。近鉄もCTB井花のトライを返すと後半は互角の戦いに。後半9分、近鉄は石田、辻本、浜辺のフロントローを軸にゴール前のスクラムを猛プッシュ。NO8タウファ統悦がインゴールでボールを押さえ、12-21として勢いづく。SO重光のPGを加えたあとの19分にはインターセプトでチャンスを作り、最後は重光がトライ。難しい角度のコンバージョンも決まて22-21と逆転に成功した。近鉄は、相手キックオフも簡単にはタッチに出さず、CTB井花、マイレイらが果敢に突進し波状攻撃を仕掛けた。30分には、ラインアウトからのモールを猛然と押し込んだあと、重光のグラバーキックをCTBマイレイがインゴールで押さえて29-21と8点差。安全圏に逃げ込んだかに見えた。

しかし、日本IBMはあきらめなかった。後半34分に近鉄ゴール前で得たPKでは、冷静にPGを選択して5点差に詰め、インジュリータイムに入った41分、ゴール前のラインアウトからモールを押し込み、ついに同点とする。コンバージョンは外れ、その後しばしの攻防の末、ノーサイドの笛が鳴った。そして、引き分けながら歓喜の雄叫びをあげたのは日本IBMだった。入替戦の規定により、同点に場合はトップリーグのチームが残留となるからである。

「トップリーグに残れたことを、素直に喜びたい。またトップリーグで修正点を生かせると思うと嬉しいです。最後は、絶対にトライを獲るという気持ちが出ました」(日本IBM高キャプテン)。キャプテンの冷静な判断と、大事な場面でスコアした執念は賞賛されるべきだろう。ただし、近鉄側から見れば、あまりにも残酷な結末だった。勝利のチャンスをつかみながら決勝点を奪えそうな場面でのパスをミス。そこで取られた反則から攻め込まれたのだから、悔やんでも悔やみきれないだろう。これで近鉄は来季もトップウエストでのプレーとなる。中谷監督は目を潤ませていた。「昨季のトップチャレンジで0-39で負けた日本IBMに29-29の勝負が出来た。成長した選手に拍手を送りたい。最後は守りに入ってしまったところがあったのかもしれません」。何度も絶句し、聞いていても胸が締め付けられる会見だった。辻本キャプテンは悔しさを吹っ切るかのように「点を取られた場面はミスばかり。このままトップリーグに上がっても、いいパフォーマンスは発揮できないでしょう。ふさわしいチームにならなければいけないと思いました」と潔く語った。

第2試合は、ホンダヒートが上田、木村の両WTBのトライで14-3をリード。大いにスタンドを沸かせた。しかし、リコーもWTB河野のトライで反撃すると、やや甘いホンダの防御網を縦横に揺さぶって加点し、後半11分には、CTB田中のトライで34-14とし、ほぼ勝敗を決した。

リコーの伊藤キャプテンは「きょうは、トップリーグの最終戦から1か月空いてモチベーションの持っていき方が難しかった。最初にスコアされたのは、自分たちのミスだったので、とにかくFWで前に出るようにした」と語り、残留を決めて安堵の表情だった。

この日、昇格できなかった近鉄、ホンダを見ていて、イージーミスが多いことが気になった。それも大切な場面でミスが起きる。このあたりにこだわりながらチーム作りをしないと、なかなか昇格するのは難しいと感じた。この結果、来季のトップウエストは、近鉄、ホンダに加え、TLから降格するワールドファイティングブルにより、順位争いがまったく読めない激戦リーグとなる。

◆トップリーグ入替戦結果
日本IBMビックブルー△29-29△近鉄ライナーズ(前半16-7)
リコーブラックラムズ ○43-24 ●ホンダヒート(前半29-14)

  • Line