ラグビー愛好日記

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このブログについて

プロフィール写真【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。

試合レポート 2006年12月16日

悲喜こもごも

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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金曜の夜は神戸のホテルに泊まった。土曜日の朝、花園ラグビー場に行ってトップリーグの2試合を観戦。神戸に戻ってラグマガ巻末インタビューの取材をした。きょうはずっと電車に乗っていた気がする。しかも、混んでた。神戸のルミナリエが開催されているためだ。そんなわけで、ただいま夜の10時過ぎ、やっとホテルの部屋で日記を書き始めたところだ。

きょうの花園も熱かった。きのうの東芝対神戸製鋼の試合もそうだったが、トップリーグは、トップ4争い、残留争いともに最終局面。選手達のモチベーションは俄然高まっている。それが観る者の心を揺さぶる。ワールドと日本IBMは、両者一歩も引かない攻防が続いた。前半終了時点で、5-5の同点。後半16分、ワールドはFWでしつこくタテ攻撃を仕掛け、最後はCTB中矢が中央にトライ。しかし、日本IBMも20分過ぎから相手ゴールライン前で5分ほど攻め続け、HO須田がトライ。12-12に追いつく。30分、ワールドFL田中のトライは、ラインアウトのサインプレーでHO本田が抜け出して繋ぎ続けたもの。19-12となったあとはスコアが動かなかったが、終了間際の日本IBMの波状攻撃をワールドが耐え抜き、今季初勝利を飾った。

ゲームキャプテンの本田は「素直に一勝できて嬉しい」と笑顔を見せ、「ヘッドコーチが交代することになり、次のコーチが決まるまで選手だけの期間があった。そこで危機感を持って一つになれたのは確か」とチームが一体になったことを強調していた。ワールドが勝ち点をあげたことで残留争いはますます混沌としてきたが、日本IBMもしぶとく7点差以内の負けに与えられるボーナス点「1」を獲得。これが最後に効いてくるのかもしれない。

第2試合のトヨタ自動車対クボタは、最終スコアだけを見るとトヨタの快勝だが、後半37分までは、31-27のトヨタ4点リードという拮抗した展開だった。クボタは、BKの要であるCTB吉田英之を大腿部の肉離れで欠いていたが、立ち上がりからNO8ケフ、SO伊藤、FBマクイナリを軸にボールを大きく動かし、FL岩上のトライと伊藤のPGで前半21分まで10-0とリードした。トヨタもSO廣瀬の絶妙のタイミングのパスで、LOケートがトライを返し、34分には、HO高山のトライで逆転したが、クボタもしぶとく食らいついた。チームメイトの頑張りに、吉田選手も試合後「感動しました」と語ったほど。後半30分あたりで、クボタがゴール前に攻め込んだのだが、ここでモールを押しきれず、BKに展開してミスが起きたところが勝敗の分岐点だった気がする。

最後は突き放したトヨタだが、後半9分に投入されたWTB遠藤のパワフルなランニングは圧巻だった。終了間際の2トライはいずれも遠藤が導き出したと言ってもいい。タックルを次々にはね飛ばす、ものすごい馬力だった。LOケート、FL中山、難波、赤沼の両CTBらが相変わらずよく働いていたのだが、FB正面のプレーにも驚かされた。前半は、キック処理でもたつくシーンもあったが、後半13分のトライは、ディフェンダー4人ほどに囲まれながら小刻みなステップであっという間に抜き去った。ただならぬ才能を見せつけたシーンだった。

「サントリーに敗れて、4位以内に残るためには負けられない試合だった。5ポイントとれて勝てたことを嬉しく思います」とトヨタ・朽木監督。一方、健闘しながらボーナス点すら獲れなかったクボタは4位以内が難しくなり、鈴木力キャプテンが記者会見のコメント中に絶句する場面も。キャプテンの重責を痛切に感じる姿だった。

◎トップリーグ第10節結果(16日分)
リコーブラックラムズ●7-36 ○ヤマハ発動機ジュビロ(前半0-12)
NECグリーンロケッツ●0-43○サントリーサンゴリアス(前半0-29)
ワールドファイティングブル○19-12●日本IBMビッグブルー(前半5-5)
トヨタヴェルブリッツ○45-27●クボタスピアーズ (前半14-13)

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