ラグビー愛好日記

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このブログについて

プロフィール写真【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。

試合レポート 2006年10月21日

TL7節、土曜の結果

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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土曜日の早朝起床して東京駅に向かった。6時台の「のぞみ」で花園ラグビー場に行くためだ。早朝の東京駅、僕はけっこう好きである。いつもは「柔らかカツサンド」を買って乗り込むのだが、今朝は「21世紀出陣弁当」だった。毎回確実に弁当を食べている。楽しみなのだ。ちなみに、いま、帰りの「のぞみ」で大阪名物「まむし弁当」を食べたところである。贅沢してしまった。きょうは三食弁当だった。

さて、きょうの花園ラグビー場は唯一全勝で首位を走る東芝が敗れる波乱があった。逆転また逆転のシーソーゲーム。特に最後の10分は興奮した。後半32分、22-24でリードされていたヤマハがFBレーニーのトライで29-24と逆転。東芝も37分、自陣ゴール前のラインアウトからWTBケプの力強い突進で大幅ゲインすると、次々にパスをつないで最後はCTB仙波が同点トライ。SO吉田のコンバージョンも決まって31-29とリードを奪う。やはり、東芝かと思われた直後のキックオフで、東芝の攻撃を途中出場のヤマハFLフェヌキタウがジャッカル。相手の反則を誘ってPGチャンスを得る。これをCTBウィリアムスが決めて32-31。

ところが、その直後のキックオフで、ヤマハがボールをキープしてモールになったところでヤマハ側に相手の首を持ってモールからはがす危険なプレーがあり、東芝にPKが与えられる。吉田がPGを決めて34-32。めまぐるしくスコアが入れ替わった試合もこれで決着かと思われた。しかし、最後まであきらめないヤマハは、43分、東芝陣内に10mほど入ったラインアウトから、連続攻撃。右タッチライン際でゴール前に迫る。互いにボールに絡み合う攻防の中でボールがタッチライン際で浮き上がった。ここで、東芝側がこのボールを手ではたいてタッチラインの外に出す反則を犯す。故意に手で出すのは反則である。このPGをウィリアムスが決めて試合終了。凄まじい攻防の末の劇的な幕切れだった。

最後のプレーについて、東芝側からはその前にヤマハの選手がノックオンしているのではないかという主張があったが、岸川レフリーは「横にはじいたと判断した」と語った。最後のところの互いの反則は微妙なものだったのだが、東芝の薫田監督も「内容は負けていた」と語った通り、ヤマハのパフォーマンスは素晴らしかった。前半は「東芝のディフェンスが(内側に)寄っていたので」(ヤマハ木曽キャプテン)と、グラウンドを左右いっぱいに大きくボールを動かし、WTB辻井、CTBウィリアムスがトライするなど王者のディフェンスを翻弄した。東芝もドライビングモールで反撃し、一時はリードを奪ったのだが、タックルミスも多く、失点を食い止められなかった。

ヤマハはサントリー、トヨタ戦勝利に続く上位チームからの白星で勝ち点「5」を獲得。計「24」としてトップ4争いに生き残った。東芝も「4トライ以上」と「7点差以内の負け」に与えられるボーナス点「2」を確保し、勝ち点はサントリーと並んでいる。太田では三洋が神戸製鋼に勝って、上位争いもさらに混戦模様だ。

歓喜のヤマハと落胆する東芝という明暗に分かれたが、両キャプテンは冷静だった。

「東芝は(こちらが)守って勝てる相手ではない。積極的に攻め、守る時間を短くする。絶対にボールを渡さない意識を持とうとメンバーには話していました。しかし、東芝に勝てたからと言ってすべてに勝てるわけではない。FWの出来はあまり良くなかったですからね」と、木曽キャプテン。後半戦に向けて気を引き締めた。

東芝の冨岡キャプテンも悔しさを押し殺して語った。「我々の力不足。35点とられたら、負けますよ。理由があるから負けるんです。まだ、チャンピオンをとるべきチームではないということ。負けからいろいろ思い出すことはある。これで締まるでしょう。チャンピオンにふさわしいチームにしていきたいです」

試合後、久しぶりに出会った知人が言っていた。「僕が見た今季のベストゲームですよ。初めて来た試合がこんなのだったら、初心者の人でもまた来るでしょうね」。そんなゲームだったかもね。

第1試合のコカ・コーラとワールドの試合は、13位と14位の対戦で注目されたのだが、ここまで上位チームに対しても常に粘り強い戦いを見せていたコカ・コーラが着実に身に付けてきたディフェンス力を発揮。7割方攻撃していたワールドを抑え、攻めてはSO淵上、WTB築城らが好走して4トライ。ボーナス点をゲットしての勝ち点「5」の勝利で向井監督も会心の笑みだった。ワールドは、個々には力強い突進を見せながら、組織としてディフェンスを崩すことができず、ことごとくチャンスをミスでつぶした。またしても勝ち点はあげられず。ワールドが取り残された形になっているが、秩父宮ではサニックスが日本IBMに勝利したこともあって下位グループの争いも混沌としている。

◆トップリーグ第7節結果(土曜日分)
日本IBMビッグブルー●17-28○福岡サニックスブルース(前半17-7)
サントリーサンゴリアス○43-14●リコーブラックラムズ(前半5-7) 
ワールドファイティングブル●12-29○コカ・コーラウエストレッドスパークス前半0-17)
東芝ブレイブルーパス●34-35○ヤマハ発動機ジュビロ(前半17-17)
三洋電機ワイルドナイツ○44-15●神戸製鋼コベルコスティーラーズ(前半17-10)

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