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力の差を見せつけられたオールブラックスとの一戦だが、今の日本代表はチームを一気に若返らせながら世界のトップ国と戦っている。日本代表の歴史を振り返ると、トップ8以上の国と頻繁に戦えるようになったのは、2015年のラグビーワールドカップ以降だ。2015年大会以降は主力選手を軸に少しずつメンバーを入れ替えていた。これほど大幅に入れ替えながら、トップ国と戦うのは初めての経験だ。
今はスーパーラグビーからも離れ、国際舞台の経験を積む機会が少ないという環境のなかで若返りを図っている。貴重なテストマッチを大切にして、反省点を次の試合で修正し、これを継続することで強くなるしかない。個々の選手のことでいえば、海外に出てプレーする、あるいはリーグワンの中で常に世界レベルを意識してレベルを上げることでしか、強くなる道はない。時間はかかりそうだが、ヨーロッパ遠征ではチーム力の向上を感じさせる戦いを見せてほしいと願う。

試合後、発売中のラグビーマガジン12月号を読み返した。姫野和樹、ニコラス・マクカラン、竹内柊平、岡部崇人らのインタビューは、オールブラックス前の取材だが、試合後に読むとさらに味わい深い。各選手のトレーニングのこと、チーム作りのことが当事者の言葉で語られると読みごたえがある。苦労して代表の座を勝ち取った選手たちの言葉は重い。応援したくなる。多くの人に読んでもらいたいと思う。
僕は今回、連載のコーチング・マイウェイで報徳学園高校ラグビー部の西條裕朗監督にインタビューをした。本連載で8人目の取材だが、それぞれ指導哲学が違っていて面白い。高校の指導者は熱血漢が多いが、西條監督は泉光太郎ヘッドコーチがいるということもあって少し引いた目で見ている。若いころには指導者としての責任を痛感する出来事を経験した。ここ10年のチームのスローガンは「タフチョイス」。楽な方を選ばない、これを大事に指導にあたる。「選手の成長が指導者の一番の楽しみ」。ここは多くの指導者に共通するところだ。試行錯誤の指導者人生は多くの人の参考になるだろう。次の指導者インタビューは、また別のカテゴリーへ。話を聞くのが楽しみだ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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