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5月24日、日本代表36名と、日本代表候補選手10名の46名が発表された。9月8日に開幕するラグビーワールドカップ(RWC)2023フランス大会に向かって、日本代表は6月12日(月)から千葉・浦安で、7月3日(月)から宮崎で合宿を行う。今回のメンバーから、浦安の合宿を経てメンバーが絞り込まれ、7月8日のオールブラックス・フィフティーンから始まる国内5連戦に臨む。最終的には、8月5日のフィジー代表戦後に、フランス大会に向かう最終メンバー(33名)が決まる見込みだ。
ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは次のようにコメントした。「いかなるプレッシャーの中でも、一貫したプレーができる選手ということでこのメンバーを選考した。浦安合宿ではコンタクトエリアの攻防におけるタックル精度をナショナルレベルまで引き上げていくことを狙いとし、チーム力をより向上させ、より強固な絆を作っていきたい。そして、7月から始まる国内テストマッチ、その先に待つ本番への準備を加速させたい」
ノンキャップの日本代表メンバーは、PRで選出されたシオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス)、LOサウマキ・アマナキ(コベルコ神戸スティーラーズ)、LO/FLアマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)、SH福田健太(トヨタヴェルブリッツ)、CTBニコラス・マクカラン(東芝ブレイブルーパス東京)、長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、WTB木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)の8名。候補メンバーでは、PR小林賢太(東京サントリーサンゴリアス)、HO中村駿太(東京サントリーサンゴリアス)がいる。※当初、ファカタヴァ選手が抜けていました。失礼しました。
メンバー発表後に行われた藤井雄一郎ナショナルチームディレクターの記者会見によれば、ハラシリは、PRで持ち前の突破力を発揮することができれば日本代表の強みになるという選考のようだ。候補メンバーは、ピーター・ラブスカフニ、テビタ・タッタフなど怪我の様子を見ながらの選手が多い。今回のメンバー以外からRWCメンバーが選ばれる可能性は、よほど多くの負傷者が出ない限り極めて低いという。
筆者は山沢拓也、野口竜司の選出を期待していたが入らなかった。ただ、日本代表の選考は、各ポジションのベストの選手を選ぶのではなく、どういう選手を組み合わせれば世界の列強に勝つチームが作れるか、コーチが目指すスタイルに合わせて選ぶものだ。選ばれなかった選手はその構想から漏れたということになる。

24日午後、初めての代表入りとなった木田晴斗と長田智希がそれぞれオンラインで記者会見を開いた。木田は「日本代表メンバーにからむのが今季の目標でもあったので嬉しいです。ただ、まだ達成したわけではなく、ここからがスタートだと思います」と話した。代表コーチ陣からは、ディフェンスで課題を与えられていたようで、前に出て相手のスペースをつぶし、低くタックルに入って相手をドミネートするタックルについてレベルアップに取り組んできた。ワークレートを上げるために体重を2㎏ほど絞り、ハイパントキャッチも磨いた。日本代表のWTBとして求められるものを向上させ、狙い通りの代表入りである。「大学生のときに、日本でラグビーワールドカップが開催され、松島幸太朗さん、福岡堅樹さんの活躍を見て日本代表で活躍したいという思いが強くなりました」。目標は日本代表だと何度も公言した。「目標を口に出すのは親の教えです。夢を大きく持ち、口に出して言えば、自分にプレッシャーをかけることにもなります」。まさに負けず嫌いの木田晴斗らしく、有言実行の代表入りだった。
長田智希は「日本代表を明確に目指したのは、リーグワンでプレーし始めてから」だという。日本代表経験者とともにプレーするうち、自分にも手が届くのではないかと自信をもったというのだ。日本代表の印象についてこんなコメントがあった。「パナソニックは日本での戦い方をしていますが、日本代表が世界で戦うためには、日本人としての強みであるボールを素早く、継続的に動かすところが求められると思います。その中でCTBはフィジカルで前に出る、キック、パスのスキルを使いながらボールを動かすところなど求められることは多い。それを合宿で磨きながら、選手として成長し、チームに貢献できるようになっていきたいです」。
自分の強みについては、「各チームでの自分の役割を理解し、自分の色を出しながらチームの中でどういう貢献ができるのかを大切にしているところです」と話した。そして、世界に通用する自分のプレーについて問われるとこう答えた。「ボールキャリーで前に出るフィジカルは自信がありますし、ボールを受ける前にディフェンスをずらして前に出る動きは通用するだろうという自信があります。ディフェンスに関しては、相手のアタックを予測して穴を埋めるところを強みにしていきたいと考えています」
両選手ともコメントが力強かった。日本代表になりたいと強く思い、そのためにレベルアップしてきた自信があるからこそだろう。強化合宿を活性化する存在になるのは間違いない。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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