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あっという間に4月も終わって、5月に入る。最新のラグビーマガジン(6月号)は、プレーオフ直前のリーグワン情報満載。田村編集長司会の座談会も楽しい。リーグワンオフィシャルアンバサダーの依吹玲さん、日本経済新聞の谷口誠記者、実況アナウンサーの住田洋さんが、各チームのファンサービスなどを語っている。いろいろな面で運営の努力を感じることができる。僕は住田さんと何度か夢の島で仕事したので、住田さんの鮫太朗(マスコット)愛を知っている。ブルーシャークスのファンサービスは参考になることが多い。いろいろあるのだが、気温が低くなると、防寒グッズが割引になるのはとても良いアイディアだと感じた。
優勝争い、各ディビジョンの昇降格争いからも目が離せない。プレーオフ準決勝は、5月13日、14日だが、5日からは入替戦が始まる。上位のディビジョンの選手ほどプレッシャーがかかる。残留か、昇格か。レギュラーシーズンとは違った緊張感あるラグビーを楽しみたい。
現在、JSPORTSでは「ラグビーワールドカップ100選!」を放送している。僕は1999年大会から解説させてもらっていて、若いときの自分を見るのは恥ずかしいけれど、試合は面白い。ラグビーの変化が如実にわかる。

先日、高田馬場にあるラグビーダイナー「ノーサイドクラブ」で「私たちのW杯」と題した特別企画のトークライブの進行役をした。2023年ラグビーワールドカップ(RWC)の開幕(9月8日)まで、あと4カ月ほどになった。過去のRWCに出場した日本代表選手に登場してもらい、大会の実感や思い出話をうかがうものだ。第1回は、2003年のオーストラリア大会について、元日本代表の伊藤剛臣さん、小野澤宏時さんに語ってもらった。この大会で日本代表はスコットランド、フランスを苦しめ、「ブレイブブロッサムズ」と呼ばれるようになった。
記念すべき大会なのだが、大会前の戦績はふるわず、当時の向井昭吾監督はメディアから批判された。チーム内でも意見の対立があったようで、選手間で言い争うこともあったそうだ。生々しい話だった。小野澤さんも悶々とした気持ちだったという。そのなかで、伊藤さんは「僕は先発で出場できるかどうか、それしか考えていませんでした。最初のメンバー発表のとき、8番で自分の名前が呼ばれたあとのことを覚えていないんですよ」と、自分のことしか考えていないのが面白い。それでも4戦連続で先発し、スピードある突破で活躍した。スコットランド代表戦では20数タックル。「辻と(9番)と廣瀬佳司(10番)は、小さいのに思い切りタックルしていました。僕も普段の試合だったら、タックル数は10回くらいですよ。それが20回以上した。出し切りました」。
4戦全敗に終わり、伊藤さんは帰国前にFW第一列の選手と飲んだそうだ。「FW第一列の3人の顔見ていたら、泣けてきましたよ。そしたらね、外国人コーチが僕を呼んでいる。うるせえ!俺はコイツらと飲んでるんだって無視しました。そしたら、どうやらそこにオールブラックスのNO8ジンザン・ブルックがいて、僕に紹介しようとしていたらしい。失敗しました(笑)」。全力を出し切ったからこそ、泣けるのだ。
小野澤さんはスコットランド戦での日本代表のトライ映像を見ながら「へたくそですよね」と言った。「今だったら、あのループの仕方では抜けません。そういう意味では、ディフェンスもちょっとね...」と、攻守ともに今と比べてレベルが低かったと解説してくれた。小野澤さんは、2007年、2011年大会の出場している。このときのヘッドコーチは、ジョン・カーワン。「僕ね、干された時期があるんですよ。お前の問題は年齢とサイズだって言われて、それってどうしようもないじゃないですか。当時サントリーの監督だったエディーさんに、相談したことがあります。そしたらね、『選手はいつもいい準備大事ね』って言われて、そうだなって」。結局、小野澤さんは、くさらずに努力を重ね、2007年、2011年大会ともに主力のWTBとして活躍した。
RWCのメンバーに選ばれ、活躍できる選手は一握り。これから最後の選考が始まるが、それぞれの選手が悔いのないプレーでアピールできること祈りたい。RWCに向かってのトークライブは、毎月開催の予定。次回(5月12日)は、2007年大会のことを、大西将太郎さん、平浩二さんに語ってもらう。すでに予約で満席になり、キャンセル待ち状態。6月10日は、2011年大会のことを当時の日本代表キャプテン菊谷崇さん、LOの北川俊澄さんに語ってもらうことになっている(申し込み受け付け開始日は、ノーサイドクラブのホームペース、フェイスブックや、僕のインスタ、フェイスブクなどで後日発表)。
Jsportsのラグビーワールドカップ100選!は、5月から2011年大会に続いて、2015年大会、2019年の前半戦が放送される。Jsportsのサイトのコラムにも書くが、日本代表が世界を驚かせた2015年大会の南アフリカ代表戦は必見。決勝のニュージーランド代表対オーストラリア代表もすさまじい試合だ。歴史的な流れを知ることで、今年のフランス大会をより楽しむことができる。ぜひ、ご覧ください。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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