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ラグビー コラム 2019年5月11日

リーダーシップについて考えるトークライブ(首都大学東京)

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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書くのが遅くなってしまったが、59日(木)の午後は、首都大学東京 南大沢キャンパスでトークライブのファシリテーターをした。「ラグビーとボランティアとリーダーシップ」と題するトークライブで、主催は、首都大学東京ボランティアセンター。南大沢駅を降りて、アウトレットを抜けると大学がある。緑に包まれたおしゃれなキャンパス。僕は敷地の狭い大学だったので、こういうのは憧れる。

登壇者は3名。ラグビーとリーダーシップの観点から、東芝ブレイブルーパスで5年間キャプテンを務め、前監督でもある冨岡鉄平さん、ボランティアとリーダーシップという授業を受け持つ同大学の室田信一准教授、ラグビーワールドカップ(RWC)の日本大会で釜石でのボランティアをする同大学ラグビー部キャプテンの辰巳紘奨君。

まずは、素朴な疑問で、人はなぜボランティアをするのか、という問いから始めてみた。辰巳君から「ラグビーが好きで、RWCを成功させたい。復興支援につながる活動がしたい」というような話が出る。なぜ、そう思うのか、スポーツ大会にはなぜボランティアが必要なのか、それぞれが考えつつ言葉を紡ぐトークが進んだ。冨岡さんは、ボランティアとラグビーを結びつけ、「他者貢献だけではだめで、自己実現がないといけない」と話した。「自己満足と自己実現は違います」とも。釜石へ行く目的を、一人一人がもっと明確にしなくてはいけないということだろう。

室田先生は、リーダーシップの形態として、「ドット・リーダーシップ」、「バラバラのリーダーシップ」、「スノーフレーク・リーダーシップ」を解説した。ドットは、強烈なリーダーにみんながついて行くもの。バラバラはその言葉通り。そして、スノーフレークは、雪の結晶。リーダーが他のリーダーを育て、それが連なってまとまっていくようなイメージ。

冨岡さんは、東芝の5年のキャプテン生活のなかで、最初は俺の想いについて来い、という姿勢でぐいぐい引っ張ったが、次第に選手それぞれにアプローチを変えるようになっていったという。「人の心に着火していくことが大事だと思います」。「(監督の最後の年は)自分の思いだけで走り、みんな腑に落ちないままやっていた。それが失敗でした。そして責任をとって辞めることになりました」と失敗談も語ってくれた。

聴講に来ていたラグビー部員から「我々の部は指導者が常駐してない。監督の立場として学生のリーダーにどんなこと求めますか?」という質問が出ると、冨岡さんが「君はどうしたい?なんのために練習している?」と、どんどん答えを迫った。自分では答えを言わず、答えにたどり着くように導く。これもリーダーシップ。「僕はそこまで深く考えていませんでした」という辰巳君には「そうやってカッコつけずに、素直に話せるのが素晴らしい。良いリーダーだと思うよ」と言葉をかけた。自分はなんのためにラグビーをしているのか、なぜボランティアをするのか、考えさせられ、気づきの多いトークライブになった。

冒頭の写真は、すべてが終わってから登壇者で撮ったもの。このイベントを企画運営してくださった皆さん、ウィークデーの午後にもかかわらず、来てくださった皆さん、ありがとうございました。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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