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ラグビー コラム 2019年3月29日

清宮克幸さん、ノーサイド・トークライブ

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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今週の夜はトークライブの進行役が続いた。火曜日は横浜のセブンオウスで廣瀬俊朗さんの、水曜日はみなとスポーツフォーラムで日野レッドドルフィンズの細谷直GM兼監督の講演の聞き手。328日夜は、高田馬場ノーサイドクラブで清宮克幸さんのトークライブだった。

清宮さんのライブは、今年の9月、日本で開催される大学の世界大会(World University Rugby Invitation Tournament 2019)のチャリティーイベントとして行われた。清宮さんは、まずはこの大会開催のいきさつなどを説明。清宮さんの大切な先輩であり、イラクで凶弾に倒れた奥克彦大使とオックスフォード大学時代からの親友だったレジ・クラークさんが中心になって2015年からこの大会がスタートしたこと。そのバトンを早稲田大学ラグビー部が引き継いだこと。そして、費用を捻出し、たくさんの仲間とこの大会を成功させるためにクラウドファンディングを始めていることなどが説明された。

「ワールドカップは試合後のアフターマッチファンクションとか本来のラグビーの交流が(タイトなスケジュールもあって)できない。大学の大会ではそういうラグビーの文化を楽しめると思うんです」。この大会は、ラグビーの本質的価値を追求し世界に発信していくことを目標にしている。関心のある方は文末に公式サイトのURLを記すので、ぜひご覧いただきたい。

トークは一気の2時間半。進行役としては清宮さんの独特の間合いでのトークを邪魔しないようにしていたのだが、一言も聞き漏らさないようにと耳を傾ける超満員のお客さんの集中力の高さに驚かされた。ほんのさわりを以下に記したい。

まずは、先シーズンまで監督を務めたヤマハ発動機ジュビロからディネスバラン・クリシュナン選手、堀江恭佑選手が日野レッドドルフィンズに移籍したことから。「堀江、まだ連絡ないんですよ(笑)。2日前に話したのに、この話は出なかった。まあ正式に契約してから言おうと思ったんでしょうね」。クリシュナンを獲得したころの話では「エージェントに、ロックができて、身長が高くて、足が速くて、アジア枠の選手を探してほしいとお願いしたら彼が来た。そうしたら、セブンズの選手だからスクラムの二列目は組んだことがないという。組ませたら、生まれたての小鹿みたいで(笑)。試合に出るまで2年かかりましたね」。

潤沢に才能を補強できるチームではないため、選手の長所を最大限に生かすチーム作りも面白かった。現在の日本代表について聞くと、「(RWCのベスト8)行けるんじゃないですか」とあっさり。「物事には道理があるでしょう? これだけ日本代表の活動に時間をさける国はほかにない。今年だけでも7カ月です。シックスネーションズを見ていても、隙はある。行けますよ」と語った。

各代表、各チームで必ずキャプテンになる清宮さんだが、参考にしたキャプテンも、これといって名前をあげるようなキャプテンもいないという。オリジナルなのだ。そして、自分が指導者として指名したキャプテンについては「いつも言うのは、キャプテンにふさわしいと思って選んだのだから、自分らしくやれ、ということです」と話す。

影響を受けた指導者については、高校時代(大阪府立茨田高校)の吉岡監督の名をあげた。「選手に任せて高いところから見ているような人でした。細かく言う指導者だったら僕は衝突していたと思います。大学以降の指導者は清宮克幸という選手ができあがってから会っていますけど、吉岡先生は僕がまだ何者でもないときに会って指導されましたから」

具体的なエピソードが次から次に出てきた。粗削りな選手を導く秘訣などについて聞いたときは、こう答えた。「結局ね、そいつと一生の仲間になれるかどうかなんですよ。青臭いけど、愛です。自分の結婚式に、この人に来てほしいなって思えるかどうかってことですよ。僕は指導者になったかなり早い段階でそのことに気付いて、ずっとそうしてきました」。

話は名将・大西鐵之祐さんにも及んでいったのだが、ここで時間切れ。これについては、518日、早稲田大学エクステンションセンターの講演で話すことになった。この辺のつなぎも、抜群に上手い清宮さんだった。やんちゃだった少年時代の話は、いつも笑えるなぁ。そして、先輩との接し方などチーム作りの基礎を学んだのがボーイスカウトだったというのも興味深かった。

5月18日 早稲田の杜の教養シリーズ 開催要項

https://wuext-lecture7.peatix.com/

World University Rugby Invitation Tournament 2019

大会公式サイト

https://www.wurit2019.com/

クラウドファンディングのサイトはコチラ

https://japankurufunding.com/projects/rugby-university-world-cup/

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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