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ラグビー コラム 2018年2月16日

田邊秀樹・崩光瑠トークライブ

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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2月15日の夜は、高田馬場ノーサイドクラブでノーサイドライブだった。ゲストは、トップリーグ昇格を決めた日野自動車レッドドルフィンズの崩光瑠(くずれ・ひかる)選手と、田邊秀樹選手だった。崩選手は、東芝ブレイブルーパスから、田邊選手は神戸製鋼コベルコスティーラーズからの移籍である。どんな気持ちで移籍し、昇格を決めたときはどんな思いだったのか、そして2人の足跡について語ってもらった。

崩選手は入替戦の相手がNTTドコモレッドハリケーンズに決まったとき、やや嫌な感覚があったという。「昨季のトップチャレンジで完敗していて、すごく強いイメージがあったからです」。しかし、田邊選手は「僕はドコモで良かったと思っていました。そのほうが緊張感をもって準備できるからです」と、その言葉通り、周到な準備をしての昇格。「僕は移籍して一年目ですが、これまでずっと日野自動車でプレーしてきた選手たちの表情を見ていたら、もうダメでしたね」と田邊選手は涙を流した。「でも、喜んだすぐ後に、恐怖感が出てきました。来季はトップリーグで戦わなくてはいけないのだということです」。

なぜ移籍したのかについて聞いてみた。「東芝で2年目のシーズンが終わったとき、戦力外と言われました。会社に残って社員として働く選択肢もあったのですが、まだプレーできる自信もあったし、続けたかったのでチームを探すことにしました」(崩選手)。当時の監督の冨岡さん、採用担当の猪口さんがいろんなチームにあたってくれ、日野自動車か神戸製鋼という選択肢の中で日野を選んだという。「自分が試合に出て、チームを強くしていきたいと思ったからです」。

田邊選手は少し違う。戦力外を言い渡されたわけではなかった。「僕は将来、ラグビーの指導者になりたいと思っているので、いろんな経験をしたかったからです」。しかし、アンドリュー・エリス選手に強く引き留められた。「本当にチームを良くしようとしてくれる選手なんです。引き留められて、そこまで言ってくれるのかと思いましたが、もう移籍を決めていたので」。

日野自動車では崩選手は正社員として朝8時半から午後5時半まで仕事をして、夜に練習する。ほとんどの選手がそのようにプレーを続けている。「日野自動車では、立派なラグビー選手であると同時に、立派なビジネスマンであれ、と言われています。でも、正直、こんなに働くのかと驚きました」。田邊選手がプロだが、社員選手の姿に刺激を受けた。「こんなに仕事をしながらラグビーを続ける選手がいる。ラグビーに専念できる環境に、これまで以上に感謝するようになりました」。

いろんな面白い話もあったのだが、田邊選手からはこんな話が。「僕は子供の頃、サッカーとラグビーを並行してやっていたのですが、記者の人に、『田邊選手は、サッカーのJリーグからも誘われたそうですね』と聞かれたんですよ。そんな話は知らないし、母に電話して、そんな誘いあった?と聞いたら、『それ言うたら、あんた、ラグビー続けへんと思って』と。言ってくれていなかったんですよ(笑)。でも、僕はラグビーで良かったです」。

崩選手はその珍しい苗字についても語ってくれた。「僕の青森県の地元には、崩集落というのがあって、周りの家はみんな崩さんなんですよ。だから僕、日本には崩さんがいっぱいいると思っていたんです。この苗字で得したのは、すぐに覚えてもらえることですが、『スクラム組むポジションなのに、崩って』とよくいじられましたね(笑)」

来季のついては、田邊選手は神戸製鋼との対戦を楽しみにしている。「僕は山中亮平が一番上手いと思っているので、対戦したいですね」。崩選手はもちろん東芝との対戦を心待ちにする。「東芝時代は湯原さんに歯が立たなかったので、スクラムで押してみたいです」。

最後は、レッドドルフィンズのジャージなどのプレゼント争奪ジャンケン大会。ずっと日野自動車を応援しているファンの方もいて、温かい雰囲気のトークライブだった。田邊選手、崩選手、参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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