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トップリーグ第5節最終日の9月24日(日)、大阪・吹田市の万博記念競技場では、NTTドコモレッドハリケーンズと、近鉄ライナーズが相まみえた。NTTドコモの勝利の立役者はFBリアン・フィルヨーンだった。まずは、前半7分、10分に立て続けにPGを決める。近鉄も反撃し、14分にFBセミシ・マシレワ、18分にインターセプトからWTB矢次啓佑がトライをあげる。スコアは、6-14で近鉄リード。しかし、この直後、近鉄で今季初先発のCTBルアン・コンビリンクが相手を投げ飛ばすような危険なタックルでシンビン(10分間の一時退場)。NTTドコモはこの機に乗じてWTB藏田知浩が右コーナーに飛び込んで、11-14と差を詰める。
近鉄としては、前半16分にPR前田隆佑、27分にFL田淵慎理というFWの軸が負傷退場したのが痛かった。後半はスクラムでもNTTドコモが再三反則を誘うなど優位に立ち、7分、連続攻撃でゴール前に迫る。FBフィルヨーンが右に行くと見せて、左サイドに立っていたCTBパエア ミフィポセチの声を聞いて左方向にロングパス。パエアは2人のタックルをかわして逆転のトライをあげた。13分、LOイオンギ譲がトライを追加したNTTドコモは、25-14の11点リードの場面で、フィルヨーンが45m以上の距離があるPGを決め、14点差として終盤へ。近鉄も後半34分にWTB森田尚希が右コーナーにトライ。交代出場のSO重光泰昌が難しいゴールを決めて7点差。1トライ、1ゴールで同点になるスコアにスタジアムが盛り上がる。
最後は凄まじい攻防になったが、近鉄が自陣から攻めたところで、NTTドコモのCTB金勇輝(後半32分に入替出場)が相手ボールをもぎとり、勝利を呼び寄せるビッグプレー。このあと、近鉄がオフサイドを犯し、フィルヨーンがPGを決めて31-21と突き放した。勝ったNTTドコモのダヴィー・セロンヘッドコーチは、「大阪ダービーであり、順位も近いもの同士、我々にとって大事なゲームでした。インターセプトなどソフトなトライを与えてしまいましたが、選手達が冷静に対処してくれました。ディフェンスでも体を張り、個々のキャラクターがよく出た試合だったと思います」とコメントした。
その言葉通り、NTTドコモは、フィルヨーンのキックで着実に地域を優位に進め、スクラム、ラインアウトのセットプレーも安定。LOイオンギ、ヴィンピー・ファンデルヴァルト、CTBイエロメ ジェフリー剛、WTBジョセファ・リリダムらのパワフルなランナーを効果的に走らせ、スピードのあるFL土屋鷹一郎、大椙慎也らがボールキャリーにキックチェイスに奮闘。効率よく戦った。対する近鉄は、SO野口大輔が「CTBとのコミュニケーションが上手くとれなかった」と、自陣からボールを動かして相手陣に行くのに時間がかかるなど効率よく戦えなかったことを悔やんでいた。
マンオブザマッチは、フィルヨーン。当然の受賞だが、「きょうはFWが勝利に貢献したと思う。特にFW前5人は素晴らしい仕事をしたと思う。勝てると信じて最後まで戦うことができた」と、いつものポーカーフェイスで語った。実はNTTドコモがトップリーグで近鉄に勝ったのは、これが初めて。チームにとって歴史的勝利になったのだが、セロンヘッドコーチは、この件を報道陣に問われて「え?本当ですか?」と本当に知らなかった様子。「自分達のことにフォーカスした」と話していた通り、一つ一つのプレー、試合に集中した上での3連勝だった。
追記◎後半15分あたり、近鉄のキックオフのボールをキャッチして、NTTドコモのLO土屋が右タッチライン際を快走するシーンがあった。最後は、マシレワと一対一の勝負。タッチライン方向に抜こうとして捕まったが、マシレワをステップで抜こうとするLOはユニークだ。このシーンをセロンヘッドコーチに訊いてみた。すると、「土屋はチームで3本の指に入るくらい足が速いんです。最後は内にステップを切れば抜けましたね」と笑顔で語った。

■試合結果
◇大阪・万博記念競技場
NTTドコモレッドハリケーンズ○31-21●近鉄ライナーズ
◇大分・大分銀行ドーム
キヤノンイーグルス●21-69○ヤマハ発動機ジュビロ
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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