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8月18日は、大阪・長居のヤンマースタジアムでJSPORTSの解説だった。僕は第1試合の神戸製鋼コベルコスティーラーズ対NTTドコモレッドハリケーンズを担当。ラグビーマガジンにマッチレポートを書くのでここでは試合経過だけ簡単に触れたい。
神戸製鋼は、キックオフ直後にボールをワイドに展開して攻め込み、SHアンドリュー・エリスが先制トライ。16分には劣勢だったスクラムを逆に押し込んで反則をさそい、アドバンテージが出ている中で、SOイーリ ニコラスが左オープンへキックパス。このボールを左タッチライン際にいたWTB大橋由和がタッチラインの内側からジャンプしてフィールド内でボールをタップ、これをFBコディ・レイが拾って2つ目のトライをあげた。
空中で外に出ているボールも、フィールド内からジャンプすれば生かすことが出来るという今季からの試験的ルールを生かしたプレーだった(※このときは、空中でもボールは外に出ていなかったが、大橋選手は新ルールを意識していた)。このあとはNTTドコモの時間帯となり、SOリアン・フィルヨーンのロングキックで陣地を進め、何度も攻め込んだ。ここでトライが獲りきれず、3PGにとどまったのがNTTドコモの一つの敗因だろう。
後半のキックオフ直後にNTTドコモがトライし、後半10分まで19-16という僅差勝負になったが、その後はNTTドコモの運動量が落ち、次第に点差が開いた。神戸製鋼の勝利を決定づけたのは、後半28分の大橋のトライだった。相手キックを受けてのカウンターアタックからパスをつなぎ、大橋が独走したもの。「まさか走り切れるとはおもっていませんでした」と本人もびっくりのトライだった。これで32-16となり、ほぼ勝敗は決した。
神戸製鋼のジム・マッケイヘッドコーチは、記者会見で自ら手を上げ、発言した。「重一生、渡邉隆之、清水晶大、アダム・アシュリークーパーの新加入4選手がトップリーグデビューを果たしたことは素晴らしい」。先発CTB重は「前半は少し緊張しました。このプレッシャーの中でトップリーグの選手達が戦っているのだと実感できたことは、次に生きると思います」と語った。
第2試合の近鉄ライナーズ対豊田自動織機シャトルズは、互いに攻め込んでもトライがとれない展開が続いたが、SO野口大輔のPGで先制した近鉄が前半39分、自陣からつないで、WTB矢次啓佑がトライ。10-0で前半を折り返した。しかし、前半もボールを動かしている回数は豊田自動織機の方が多く、後半に入ってもその流れは続いた。後半14分には、SOサム・グリーンが鮮やかなステップワークでタックルをかわしてトライし、10-7とする。なおも豊田自動織機の攻勢は続き、近鉄はゴールラインを背に防戦一方。しかし、豊田自動織機のスクラムに圧力をかけてミスを誘うと、マイボールのスクラムで反則を勝ち取ってピンチを脱出。相手陣深く入る。
しかし、豊田自動織機も粘って切り返し、31分、交代出場のWTB松井謙斗が左タッチライン際を抜け出し、最後はグリーンのキックパスをキャッチしたWTB大道勇喜がトライ。10-12と逆転に成功。ボールを動かし続けた豊田自動織機の攻撃がようやく実ったシーンだった。
後半35分、近鉄は約45mのPGチャンスを得たが、後半34分に交代出場の重光泰昌がキックし、これがバーに当たって跳ね返される。その後は、豊田自動織機にミスが続き、自陣を脱することができない。そして最後の最後、近鉄が22mラインに迫ったラックから、ドロップゴールを狙う。入れば3点、逆転のシーンだ。ラックからまっすぐ下がった場所には重光がいた。ゴールまでの距離は約40m。重光はショートバンドに難しいボールをキャッチすると、激しいプレッシャーのなか、ドロップゴールに成功! その直後、試合終了を告げるブザーが鳴った。誰もが予想しなかった劇的ノーサイドに、ヤンマースタジアムが揺れた。「(重光は)もっていると思いました」と坪井章監督。樫本キャプテンは、「正直に言えば、マジかっ!?て思いましたね」と、歓喜の瞬間を振り返った。
■トップリーグ2017-2018第1節結果(金曜日)
◇東京・秩父宮ラグビー場
リコーブラックラムズ○17-13●NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
キヤノンイーグルス●5-32○サントリーサンゴリアス
◇愛知・豊田スタジアム
トヨタ自動車ヴェルブリッツ●11-14○ヤマハ発動機ジュビロ
◇大阪・ヤンマースタジアム長居
神戸製鋼コベルコスティーラーズ○39-16●NTTドコモレッドハリケーンズ
近鉄ライナーズ○13-12●豊田自動織機シャトルズ
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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