トップリーグ第9節・土曜の結果

10月29日の土曜日は、博多のレベルファイブスタジアムに行き、JSPORTSでコカ・コーラレッドスパークス対ヤマハ発動機ジュビロの解説をした。「フィジカルで劣っている自分達が、どうアタックし、どうディフェンスするか」（コカ・コーラ　山下昂大キャプテン）、チャレンジャーとして戦ったコカ・コーラだったが、内容的にはヤマハ発動機に試合を支配されることになった。

ヤマハ発動機は激しく前に出てくるディフェンスに対して、すれ違いざまにラインブレイクしたかと思えば、ヴィリアミ・タヒトゥア、マレ・サウの両CTBが個人技で前に出て、次第にペースを握った。前半7分にはモールを押し込んでHO日野剛志がトライ。12分には、SO大田尾竜彦の背後から走り込んだWTB伊東力が抜け出し、日野、LOデューク・クリシュナンにつないで2本目のトライ。コカ・コーラSO福田哲也にPGを返されたが、26分、日本代表メンバー入りしたFLヘル　ウヴェがポストの付け根にトライして突き放した（19-3）。以降もコンスタントにスコアして、計8トライ。スクラムで圧力をかけ、FBゲラード・ファンデンヒーファーのロングキックで地域を進め、機を見て連続攻撃を仕掛ける堂々たる戦いぶりだった。

長いシーズンを見据えて、FLモセ・トゥイアリイ、SH矢富勇毅、CTB宮澤正利といった主力を休ませながらの快勝は選手層が厚くなっていることを証明するものでもあった。「昨年のトップリーグではコカ・コーラに勝ちはしましたが、点差は広げられなかった。コカ・コーラのディフェンスはヤマハに相性がいい。そのように自らハードルを上げ、それをしっかり越えて行こうと準備しました。8トライを奪えてうれしく思います。日本代表入りした選手達、トンガ代表のキャプテンになるシアレ・ピウタウを、気持ちよく送り出せます」。清宮克幸監督は笑顔で語った。

記者会見では、日本代表に7名の選手が選ばれたことで、11月の調整が難しくなるのではないか、という質問もあったが、「そこはあまり気にしていないです」と、清宮監督は前向きだった。「チームが活動をゆるめる時期に、よりタフなところに行くのは大変だと思いますが、ヤマハの選手はタフだと言われるように頑張ってきてほしい」と、隣にいた三村勇飛丸キャプテンほか、代表メンバーを激励した。9連勝の要因を問われると、「ヤマハは、（チームに）いる人間がみんな仕事をしたということ」と話し、負傷者の少なさを勝因にあげた。そして、「ずっと積み重ねてきたものが開花し始めています」と確かな手ごたえを口にした。2011年度より監督に就任し、スクラム、ボール争奪戦での基礎スキル、フィジカル強化など地道に積み上げてきたからこその自信が垣間見えた。

ヤマハの快勝に終わったこの日、コカ・コーラの地元ファンを喜ばせたのは、後半20分に登場した副島・亀里ララボウラティアナラの活躍だった。生まれ故郷のフィジーで青年海外協力隊員の日本人女性と結婚し、2009年に来日。佐賀県の舗装工事会社に勤務しながらクラブチームでプレー。佐賀県の国体メンバーから、セブンズ日本代表に選出され、ついにトップリーグでプレーするチャンスをつかんだ苦労人である。ヤマハの清原祥のキックをチャージしてトライした瞬間は、割れんばかりの歓声があがった。支持者が多いことの証だろう。その後も、タッチライン際を何度も快走。臼井監督も「ディフェンダーを外に振り切るスピードはトップリーグで十分に通用します」と高く評価した。今後も副島の活躍からは目が離せない。

■トップリーグ2016-2017・第9節、土曜の結果
◇東京・秩父宮ラグビー場
キヤノンイーグルス○35-5●宗像サニックスブルース
NECグリーンロケッツ○38 - 24●神戸製鋼コベルコスティーラーズ
◇神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場
NTTｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝｽﾞｼｬｲﾆﾝｸﾞｱｰｸｽ○34 - 29●東芝ブレイブルーパス
◇岩手・いわぎんスタジアム
リコーブラックラムズ●16 - 20○トヨタ自動車ヴェルブリッツ
◇福岡・レベルファイブスタジアム
コカ･コーラレッドスパークス●11 - 50○ヤマハ発動機ジュビロ