ラグビーとウェザーニューズ

きのうは、サンウルブズのフィロ・ティアティアヘッドコーチの就任記者会見があったのだが、その前に、幕張の株式会社ウェザーニューズに行って同社のスポーツ気象チームの浅田佳津雄さんに話を聞かせてもらった。これは11月初旬に発行される日本協会の機関誌に掲載される予定のインタビュー。浅田さんは、成城大学ラグビー部のGMでもある。

昨年のラグビーワールドカップ、今年のオリンピックの日本代表快挙には、気象予報の活用があった。あまり大きく報じられていないが、日本代表の前ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏は試合当日の風向きの変化なども詳しく知りたい人だったし、セブンズ日本代表も天候にフィットした戦法で勝利をもぎ取っていた。そのあたりを聞かせていただいた。

オリンピックにはウェザーニューズのスタッフが出向き、直接、選手団に情報を伝えた。準々決勝のフランス戦は、雨になるという予報を受けて、パスを短くして走り回る戦略で準備したことが勝利の一因だった。ラグビーだけではなくて、トライアスロン、セーリング、女子ホッケーなど7競技16チームをサポートしたそうだ。以前の気象情報は、スポーツ団体も大会の開催が可能かどうかという情報を欲しがったが、今は戦術戦略に関わるような情報を与えるように変化しているわけだ。たしかに、ラグビー一つとっても、天候によってスパイクの選択も違うし、風向きによって戦略は違ってくる。また違った視点でラグビーを考えることができて楽しい時間だった。

社員の皆さんが働いていらっしゃるところも見学させてもらった。ウェザーニューズは、50カ国の個人、企業に情報を提供している。飛行機、船舶、鉄道、道路ほか気象情報が必要なジャンルは多岐にわたる。というか、すべてに関係するものだ。職場に「ゲリラ豪雨防衛隊」なる看板を発見。1000万人にのぼるという会員から実際にその人がいる場所の雲の状況などの情報を得ているそうだ。一日に3万件もの写真つき情報が届くという。

まるで社会科見学みたいで、聞くことすべてが新鮮だった。この会社は創業者の石橋博良さんの熱い想いで立ち上げられた。1970年1月、福島県いわき市。小名浜港を襲った爆弾低気圧により、貨物船が沈没し、15名が命を落とした。「本当に役立つ気象情報があれば、この事故は防げたかもしれない」。この貨物船に関係していた石橋さんは気象の世界に進み、1986年にウェザーニューズを設立した。「船乗りの命を守りたい」、「いざという時、誰かの役に立ちたい」という想いは今のスタッフにも受け継がれているという。スポーツでいえば、選手が安心、安全にプレーできるサポートということになるのかもしれない。

この日は、会社の入り口のドアが縁取られるように赤く光っていた。これは、生命にかかわるような気象が発生したときの色なのだそうだ。いつも以上に気を引き締めて仕事に当たろうという注意喚起だという。

あっ、大事な事ほとんど書いてしまっている（汗）。創業者の想いが脈々と受け継がれている会社っていいなと、しみじみ思ったので、つい。