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7月18日の午後、日本ラグビー協会のジャパンクラブで、サンウルブズのスーパーラグビー2016シーズン総括会見が行われた。南アフリカ遠征から帰国したばかりのマーク・ハメットヘッドコーチ、田邉淳アシスタントコーチほか、堀江翔太キャプテン、立川理道、エドワード・カーク、トゥシ・ピシ、大野均の各選手が出席した。
マーク・ハメットヘッドコーチは冒頭であいさつ。「昨晩28時間の移動を経て日本に戻ってきました。疲れが顔に出ていないことを祈ります。皮肉なことですが最後の試合(シャークス戦)でサンウルブズらしい試合を見せることができました。最後まで戦いぬき、トライをたくさん獲り、エキサイティングで人々が応援したくなるようなチームです」。
1勝1分け13敗に終わったが、「選手たちの成長と経験値、大勢の観客に応援されたことこそが、スコアに表れない勝利だ」とも語った。最後の囲み取材の時には、「私はサンウルブズを愛している。次のコーチが誰になるにせよ、すべての情報を開示し、必要とあれば、アドバイスもしたい」と、来季の成功を願った。会見後には、堀江キャプテンから花束が贈られた。
堀江キャプテンはこうコメント。「1勝1引き分け、非常に悔しいです。この経験を選手一人一人が、次にどれだけ生かせるか。個々の意識次第でしょう。来季のプレーについては、意思はありますが、ここ9年ほど、一年中ラグビーをしています。首の状態もあまり良くないし、年齢的なこともあるので、体の状態を見ながら考えていきたいです」。立川理道選手は「選手が成長できたことは成果。いい土台ができました。来季のことは考え中です」と話したが、「今年の経験を伝える役割は果たしていきたい」と前向きな発言も。トゥシ・ピシ選手は、「結果は残念ですが、試合の勝敗だけではないものを勝ち取れた。私もサンウルブズのプレーを楽しんだし、来季も日本にいればサンウルブズでプレーしたい。しかし、来季は英国でプレーすることが決まっています」とコメント。
飛び抜けてポジティブだったのは、大野均選手だった。「1勝したときは涙が出るほど嬉しかったです。13敗しましたが、惜しい試合がいくつもありました。負けたときも、コーチ陣はいつも前向きなコメントをしてくれて、いい練習をしてくれた。充実したシーズンでした。来季に向かっては、メンバーが固まった時点でトップリーグの試合のない週にミニキャンプをするべきだと思います。自分はまた来年もサンウルブズでプレーしたい。もう終わってしまったことが信じられなくて、また今週末も試合がある気がします」
そして、エドワード・カーク選手は日本でのプレーをアピール。「テストマッチとは異なるタフさのあるスーパーラグビーを一人一人が経験できたことが素晴らしい。私は、まだ日本のどのチームとも契約していないので、この点、アピールしたいです。長期の怪我からようやく復帰した私にプレーの機会を与えてくれたのはサンウルブズです。私は忠誠心の強い男です。これからもサンウルブズでプレーしたい。末永く日本でプレーしたいと思っています」
サンウルブズで素晴らしいパフォーマンスをしたカーク選手に声がかからないのは不思議に感じるのだが、各チーム、すでに数多くのビッグネームを獲得しており、隙間がないということもあるだろう。また、本人によると、ティーンエイジャーの頃に7人制オーストラリア代表に選ばれた経験があり、現在のところ日本代表に選ばれる資格がない。今季よりトップリーグには外国籍選手でも日本代表になる可能性のある選手が出場できる特別枠ができたが、ここに当てはまらないとなると獲得に消極的になってしまうのも無理はない。ただ、カーク選手は、約8年も代表クラスでプレーしていないため、そういった選手については特例が認められる可能性に賭けているようだ。「このまま日本でプレーして、帰化し、日本代表資格を得たいと思っています」。
最後に田邉コーチの言葉が印象に残ったので書き記しておきたい。「スーパーラグビーとトップリーグでは、フィジカルもスピードも2倍違うと感じました。パナソニックに戻っても、スーパーラグビーのレベルでコーチングしていくのが僕の使命だと思います。それが来季のサンウルブズの勝利につながる気がするのです」。トップリーグをスーパーラグビーのレベルに引き上げ、各選手がスーパーラグビーのレベルを意識してプレー、トレーニングすることが、今後のサンウルブズの勝利、そして日本代表の強化につながっていくということだ。こういう意識を持てたことこそ、スーパーラグビー参戦の価値であったという気がする。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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