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2月17日の夜は、下北沢のライブハウス音倉で、ラグビー愛好日記トークライブを開催した。ゲストは、帝京大学の岩出雅之監督。普通に電車でやってきて、喫茶店で待っていてくださったのには恐縮した。岩出監督が、こうしたトークライブに出演するのは初めてだという。七連覇の理由について伺ったのだが、ほとんどは教育者として、いかに生徒たちの将来を考えて指導していくかという、人の育て方、モチベーションの高め方という話になった。トークライブの休憩中にお客さんと少し話すと、「さっそく、明日から会社で実践します」という方も。
帝京大学ラグビー部を率いて20年の岩出監督は、「(勝てない時代は)僕が未熟だったと思います。卒業生に会うと、申し訳ないって謝りたいほどです。最初は細かいことばかり、重箱の隅をつつくように指摘していました。いまは大きなことから入るようになっています。説得するのではなく、納得させないといけないのです」と話した。
こんな話があった。朝、寮の周辺を岩出監督が掃除していたとする。「1年生は気づかず、通り過ぎる。2年生は気づかないふりをする。3年生は、僕がやりますと手をさしのべる。4年生は最初から掃除しています」。普通に考えれば、1年生に指導したくなる。しかし、そこは我慢して気づくのを待つ。このサイクルを我慢強く作り上げると、1年生が4年生を手本にするようになる。グラウンド内外でこの文化が根付いていることが、強さの一つだということだ。
帝京は現在、早朝練習、夜のミーティングをしていない。無理なつめこみをせず、睡眠時間を確保し、授業に行かせるためだという。夏合宿も「研修」と位置付け、鍛え上げるということとは違うアプローチをとる。先輩後輩の上下関係も厳しくない。つまり、昔ながらの体育会系の逆をやっているわけだ。
そんな話から、V1からV7の振り返り、プレースタイルの変遷、岩出監督の滋賀県での中学、高校の教員時代の話まで、ジョークを織り交ぜて、大いに語ってくださった。笑いが足りないと「笑いのスキル不足やね」と反省してみたり。指導者として、常にスキルアップしようとする意欲があってこその七連覇だと感じた。あっという間の2時間。最後は、岩出さんから、V7のチャンピオンTシャツのプレゼント。ジャンケン大会では、他大学のファンも多く、複雑な表情をする方がいたのも面白かった。そういえば、この春から帝京大学ラグビー部も門を叩く高校生が一人参加してくれていたのだが、「分析をする予定です」と、テクニカルスタッフとして入部するという。帝京の強さを垣間見た気がした。

岩出監督、参加者のみなさん、ありがとうございました。
ラグビー愛好日記トークライブも、まもなく10周年。次回は10周年記念トークライブにしたいと思っているので、ぜひご参加ください。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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