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12日の夜は、高田馬場ノーサイドクラブでトークライブだった。ゲストは日本代表、東芝ブレイブルーパスの三上正貴、湯原祐希の2選手、の予定だったのだが、三上選手が試合で負傷し、病院に直行したため、急きょ変更(三上選手は大事には至らず)。望月雄太選手が来てくれた。湯原選手が説明する。「三上が怪我でダメだと分かった時、やっぱりフロントローがいいのだろうと思って、浅原に頼んだら予定が入っていた。それで、トークで行けるのは誰だ~って考えていたら、望月さんだと。それで、マネージャーに望月さんで決めちゃえ!って言ったんです」。「望月さん行ってくださいって、なんで、事後報告なんだよって(笑)。言われりゃ、行くけどね」(望月選手)。

そんなわけで、望月・湯原の爆笑トークになったのだが、スクラムについては深い話に。フロントロー同士の駆け引きは興味深かった。そして、湯原選手が「望月さんは、NO8からの放り込みが一番上手いですよ」というコメントから、今度は8人で組む話になった。最後尾のNO8からの押しが波のよう最前列に伝わっていくのだが、NO8が力を加えるタイミングが相手より少し早いだけで、押せることもあるそうだ。ただ、速すぎるとダメだし、遅すぎてもダメという微妙な世界だという。
湯原選手が務めるフッカーのポジションは、ラインアウトのスローイング、スクラムのフッキングと、重要な役目が多々ある。お客さんから、湯原選手がよくキックを追いかけて最前列で走っていることについて質問が出た。すると湯原選手がこんな話を始めた。「ボールのバウンドが変わって、こっちにボールが来ることもあるし、そうなってくれと思いながら走っています。なかなか、そうならないから、俺、持ってないなぁっていつも思います。そのときに相手選手にいいタッチキックを蹴られると、嫌なんですよ。だって僕、ラインアウトのスロワーだから、一番先にその場所に行かなくちゃいけない。息が上がって、はぁはぁなって、必死で息を整えながら投げています(笑)」。話し方もコミカルで店内は爆笑の連続だった。
日本代表が快挙を成し遂げたワールドカップの話では、一試合も出られなかった湯原選手がその胸中を語った。「廣瀬さんとも話して、とにかくまず試合に出ることにチャレンジしました。メンバーに選ばれなかったら全面的にサポートに回る。落ち込んでいるヒマもありません。試合に出るメンバーは試合に向けて練習の強度が下がっていくのですが、僕らメンバー外は早朝から練習がある。加えて、相手チームの選手の特徴を研究して、その動きを練習でやる。練習メニューの厳しさは試合メンバーも知っているし、みんなメンバー外に感謝してくれていました」。まさに、彼らがいてこその快挙だったわけだ。さすがに、最後のアメリカ戦に出られなかったときは、ガッカリしましたか? そう問いかけたときの答えには感動の輪が広がった。「もちろん、試合には出たいけど、最後は他のチームに比べれば少し力が落ちるアメリカだからって、僕や廣瀬さんの名前がメンバーに入るのはちょっと違うでしょう。それに、いい流れで来ているメンバーがいるのに、ここで変えるのもよくないと思った。メンバー発表で自分の名前がなかったとき、うん、これでいいと思いました」
「ただ、メンバー発表前、マアちゃん(三上)にここでメンバー変えるのは違うよねって話したら、あいつ、あっさり、そうですよねって(笑)」
望月選手は最後の挨拶でこう言った。「いい機会を与えてもらったので言いますが、僕は湯原はもっとメディアに取り上げられていい選手だと思います。ワールドカップで試合に出られなかったのは、湯原と廣瀬で、廣瀬は前キャプテンということもあってよく取り上げられますが、湯原は少ない。でも、日本代表のスクラムが強くなったのだって、湯原が相手をして組んでいたからです。ぜひ、これからも湯原に注目してください」
湯原選手は来て下さったファンの皆さんに感謝し、「みんなでラグビーを盛り上げていきましょう」と締めくくった。

急きょ参戦してくれた望月選手、そして、お客さんへのプレゼントをサンタクロースのように抱えて駆けつけてくれた湯原選手に心から感謝します。ありがとうございました。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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