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ラグビー コラム 2015年8月18日

釜石の夢 被災地でワールドカップを

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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ラグビーの取材仲間である大友信彦さんによる「釜石の夢 被災地でワールドカップを」(講談社刊)が発売中だ。大友さんは気仙沼出身で、震災後は取材だけではなく、救援物資をとどけるために何度も被災地を訪れている。

序章には、2019年ラグビーワールドカップ開催地に決まって瞬間の様子が描かれているのだが、こんなくだりがある。「夜の闇にカマイシ!の声が響き渡る。近所迷惑じゃないのか? その心配はなかった。外は漆黒の闇に包まれている。まわりにあった住宅は、四年前のあの日を境になくなったまま、再建されていない。町は失われたままだ」

第四章・鵜住居には、根岸海岸の旅館・宝来館の女将、岩﨑昭子さんの話が出てくる。盛岡市出身で元日本代表HOだった笹田学が言う。「女将さん、ここの景色はニュージーランドやオーストラリアのラグビー場によく似ているよ。ここでワールドカップをやれたらいいよね」。その言葉に女将さんの背中に電気が走る。「目の前に景色に色がパーッと戻ったんです。それまでは、何もかもが灰色にしか見えなかった」。

震災から立ち上がる人々、釜石シーウェイブスの被災から試合再開までの様子、その他たくさんの人々の思い、ワールドカップ招致を夢見て開催地決定を勝ち取るまでが詳細に描かれている。ぜひ、ご一読を。

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村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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