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パシフィック・ネーションズカップに参加している日本代表の第3戦(対フィジー)が、7月29日(日本時間30日朝)、カナダのトロントで行われ、22-27で敗れた。日記として一言書くなら、「ジャパン、フィジーに弱いなぁ」というところ。
立ち上がりの日本は、ボールをキープしながら攻め、フィジーのミス、反則を誘い、FB五郎丸が3本のPGを決めて、9-0とリードする。しかし、前半16分、フィジーのキックオフのボールをキャッチできず、その後の反則でフィジーSOマタヴェシにPGを決められると、立て続けに失点してしまう。19分には、防御背後へのキックをカウンターアタックされ、LOカブバティの独特のステップでタックルを外されると、そのままトライを奪われて9-10と逆転を許す。24分、左タッチライン際をつながれてトライされると、26分には相手キックを処理できず、そのままつながれて、9-24と突き放された。わずか10分間での24失点だった。日本の低いタックルをフィジーの選手はやすやすとかわす。過去、何度も日本が敗れたパターンを思い出すシーンである。日本も前半終了間際には、スクラムで圧力をかけ、再三ゴール前に攻め込んだが、トライが取りきれなかった。
後半は日本が徐々に差を詰める。6分、ゴール前の右中間スクラムからNO8ツイが右へ持ち出し、WTB山田につないで右コーナーにトライ(14-24)。このあと、互いにPGを決めあって、17-27。28分に再びゴール前のスクラムからツイが持ち出して、22-27。最後は日本が何度も攻め込み、フィジーのPRがシンビンになったのだが、人数の少なくなったスクラムをフィジーがよく耐え、日本はトライを取りきれずに終わった。フィジーのプレッシャーの前に攻撃が寸断される中で接戦に持ち込んだところは、日本代表の厳しい練習の成果だろう。しかし、決定力の無さを再認識させられたのも事実。だからこそ、日本はボールを保持して組織的に連続攻撃を仕掛けなくてはいけない。この日は、自分達が持ち込んだボールをミスで失うシーンが多く、ここは修正が必要だろう。
ワールドカップ(RWC)キャンペーンを盛り上げるという面では、アメリカ戦に続く連敗は痛いが、フィジーの圧力の中でタフな試合を経験できたことは貴重だった。スクラムは優位に立ち、ラインアウトも安定していた。長く時間をかけて磨いた成果が出ているのは、本番に向けて計算できる要素だ。あとは的確な判断、ボールを動かす部分で精度を上げたい。
■エディー・ジョーンズヘッドコーチ
「ここ最近では最もひどい試合だった。9-0で最初にリードして楽に勝てたはずなのに、自分たちでそのチャンスを潰してしまった。ミスからトライを許し、負けてしまった。こういうところを改めないとラグビーワールドカップでは勝てない。フォワードは全体的に良かったがバックスは田中をのぞきハンドリング、ランニングライン、判断と全てが悪かった。後半で勝っても意味がない。ラグビーというのは前後半通してが試合だ」
■リーチ マイケルキャプテン
「テストマッチは最後の最後、勝ちきれるかが重要。こちらのタックルミスやパントミスで相手のトライに繋がってしまった。ラグビーワールドカップではそういうミスは絶対に許されない。9点リードまで持っていったのに集中力が切れたのか、勢いが作れなかった」
■稲垣啓太選手
「スクラムが良かった分、もっとセットピースの精度、特にゴール前でトライを取り切ることにこだわりたかった。結果だけ見ると負けしか残っていないし、負けたら何も意味がない。もう1試合残ってるが、結果にこだわりたい」
■田中史朗選手
「悔しい。コミュニケーションが取れていなかったし、ミスが本当に多かった。(個人的には)80分はしんどかったが、自分が思っていたよりは走れた。コミュニケーションは立川とは足りなかったし、合っていなかったので、これから合わせていきたい。ミスがなければしっかりスペースはつけていた。ディフェンスも良かったが、後半できるならどうしてそれを前半からできないのか。やることは明確になっているので修正していきたい」
■ツイ ヘンドリック選手
「セットピースは非常によく機能していたにも関わらず、結果に繋がらなくて残念。ラグビーワールドカップにおいては許されないこと。スタートはスローだったが後半の入りは良かった。前半、後半ともに入りからきっちりできれば良かった」
■試合結果
7月29日(水)18:00キックオフ
<日本時間:7月30日(木)7:00キックオフ>
カナダ・BMOフィールド
日本代表 22-27 フィジー代表(前半9-24)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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