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7月25日(現地時間24日夜)、日本代表はパシフィックネーションズ・カップ第2戦でアメリカ代表と対戦し、18-23で敗れた。序盤は圧倒的に攻められる時間が多かったなかで、ディフェンスのリアクションが良く、次第にペースをつかむ逞しさを見せた反面、反則でペースを乱してしまうことも多かった。しかし、課題はいま出しておいたほうがいい。リーチ マイケル主将ほか堀江翔太、五郎丸歩、田中史朗ら主力が不在の中で、多くの選手がタフな経験ができたのも収穫だろう。大切なのは9月、10月のRWC本番で勝つことだ。この悔しさを生かすしかない。
試合経過=前半の半ばまではアメリカのペース。防戦一方の日本は、ブレイクダウン(ボール争奪局面)での反則が多くなり、スクラムでも反則をとられ、前半6分、17分にアメリカSOマギンティにPGを決められる。日本も27分にSO立川がPGを決めて6-3。その後再び自陣での反則でPGを決められたが、36分、立川がPGを返し、前半終了間際には、自陣のスクラムから左オープン攻撃し、立川とCTB山中のループプレーからライン参加したFB藤田が大きく相手陣に入り、最後はWTB山田につないで左コーナーに逆転トライ。11-9とリードして前半を折り返した。
後半立ち上がりの日本は素早いテンポで攻め、立川のPG、スクラムを押し込んでのNO8ホラニのトライで18-9とリードを広げた。しかし、10分、山田から藤田へのトライになるパスがスローフォワードの判定を受けたあたりから流れが悪くなり、3本のPGで同点にされ、26分には、アメリカにモールからトライを奪われた。終盤はSH日和佐、SO小野らを次々に投入しテンポアップして攻めたが、最後の攻撃中にFLブロードハーストが危険なプレーでシンビン(10分間の一時退場)となり勝ちきれなかった。日本がチャンスをつかみ、ラックからボールも出そうになっていたので、あまりにもったいない反則だった。
カナダ戦、アメリカ戦と、FWに欠かせない選手として獅子奮迅の活躍をしていたブロードハーストだけに、最後に規律を守れなかったのは残念。日本代表は賢く戦わなくては勝てない。もちろん、納得できない判定はあった。タックルで倒した相手がそのまま起き上って走ったのもあったし、終盤、ゴール前のスクラムで明らかに相手PRが頭を抜いているのに、日本がボールを出すように促されたのも不可解だった。ただし、レフリングについては感情的になることなく、冷静にその傾向を分析しておかなくてはいけない。レフリーはカナダ戦に続いてイングランドのプロレフリー、ルーク・ピアース氏だった。ちなみに、彼は昨秋の日本代表対マオリ・オールブラックス第1戦のレフリーでもあり、日本のラグビーについては良く分かっているはず。RWCでも笛を吹かれる反則なのか、ミスジャッジはあったのか、どうすれば反則にならなかったのか、ピアース氏や、ワールドラグビー側にも確認しておかなくてはいけないだろう。テンポよくボールを動かしたい日本にとっては、起点になるスクラム、ブレイクダウン周辺のレフリングに対応できないと命取りになるからだ。
エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは、「アメリカ戦では手の内は見せない」と話し、実際の戦い方も深いキックを多用するなどいつもとは少し違っていた。メンバー編成もセレクションの意味合いが強く、総合的に見れば、多くの材料を得られた試合だった気がする。試合直後、ゲームキャプテンを務めた畠山健介選手が次のようにコメントした。
「アメリカは強く、フィジカルでした。勝ちたい意思も感じました。我々はミスが多かったです。(RWC本番では)お互いにさらにレベルアップして、最高の舞台でいい試合ができると思います」
■7月24日(金)20:00キックオフ
<日本時間:7月25日(土)12:00キックオフ>
アメリカ・ボニーフィールド
日本代表●18-23○アメリカ代表(前半11-9)
■エディー・ジョーンズヘッドコーチ
「ラグビーワールドカップへの準備となる良い試合だった。今日出場した何人かの選手にとって、もっとも重要な試合となったはずだ。今日はゲインラインを越えることができなかったことが苦戦した原因。セットピースのボールの質、選手たちの走るコース、相手のディフェンスによってその状況を招いた。日本代表の今日のバックスは小さい選手が多く、ゲインラインを越えることができなかった。フィジー代表はこの大会で一番強いチームだと思う。次のフィジー代表戦は最強のチームで臨みたい」
■山田章仁選手
「前半と後半の入りは良かったが、勝てなくて残念。個人的にはトライはチームの形でしっかりとることができたので良かった。もっと試合を重ねて、コミュニケーションを取って、周りとリンクしていくことが必要。今日は少しそれが足りなかった。次はもっとボールを持ってチャンスを作りたい」
■立川理道選手
「アメリカ代表のフィジカルが強いというのはわかっていたが、スピードは日本代表の方が上だった。少しシステムが噛み合わない部分があったが、これから修正できると思う。試合の最初は新しいシェイプなどをチャレンジした部分もあった。若手主体のチームで、いい経験ができてチームの底上げになる試合だった」
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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