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7月21日、ラグビー専門雑誌RUGGER(枻出版社)の編集長を務められていた山本実さんが亡くなられた。48歳だった。僕も何度か原稿を書かせていただき、食事をしながらラグビー談義をしたこともあった。退社され病気療養中だと連絡をいただいていた。「まずは、体調を良くして、イングランドに行かねばと思っております」とおっしゃっていたので、再会できると思っていたのだが...。
7月23日、元日本代表SHで元慶應義塾大学ラグビー部監督の上田昭夫さんが亡くなられたという訃報に接した。享年62。あの活力あふれる姿が思い出されてやりきれない思いになった。難病アミロイドーシスの療養中だったという。さまざまな記事を拝読し、上田さんのことを思い出していた。
初めて見た上田さんは、トヨタ自動車の選手として緑色のジャージーを着て俊敏にプレーしていた。本来はSHだが、僕が見たときはSOを務めていたと記憶している。その後、母校の慶応義塾大学のラグビー部を率いて、1984年度には全国大学選手権決勝に進出。同志社大学に僅差で敗れる。「幻のトライ」の試合だ。ラストパスがスローフォワードと判定されたのである。負けず嫌いの上田さんは、「あれはトライだ」とずっと言っていた。翌1985年度には全国大学選手権を制し、日本選手権で自らが勤務するトヨタ自動車をも破って日本一の座に就く。この時の大学選手権1回戦で、大阪体育大学3年生だった僕は上田さん率いる慶大と対戦した。
アフターマッチファンクションで、後に日本一になる皆さんと杯をかわし、部歌を聞かせてもらえたのは生涯の誇りだ。この時の縁で当時のメンバーの皆さんとは今も会えば親しく話ができるし、上田さんにも親しくしていただいた。取材者となってからは、何度もインタビューさせてもらったし、ラグビーイベントでご一緒することもあった。きっぱりと断定的に話すキレのいい口調が印象に残っている。フジテレビでキャスターを務めたほか多才だったが、1999年度の大学選手権で母校を14年ぶりの優勝に導くなど、上田さんは日本ラグビー史にその名を刻む優れたラグビー指導者だったと思う。
指導者を退いてもラグビーへの情熱は衰えず、女子ラグビーTKM RFC(戸塚共立メディカルラグビークラブ)シニアアドバイザー、慶應義塾大学蹴球(ラグビー)部OB会理事、人材確保担当、慶應ラグビースクールGM、日本ラグビーフットボール協会競技力向上委員会コーチ部門、トップチームコーチ資格担当、秩父宮ラグビー場FM放送パーソナリティ(日本ラグビー協会主催ゲーム)などなど、幅広く活躍されていた。
2019年のワールドカップをどう盛り上げるべきかを話し合う有志の会でも何度かお話したことがあった。お元気であれば、2019年大会の成功に向けて尽力されたことだろう。残念でならない。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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