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新国立競技場の計画が見直されることになったのは良かったと思う。選手と観客に優しく、後世の人々が使いやすいスタジアムになることを願っている。しかし、その新しいスタジアムで2019年のラグビーワールドカップ(RWC)が開催できないことは寂しいし、ずさんな計画に怒りをおぼえる。
他会場で開催するしかないのだが、もし、開会式と決勝戦を開催するとなると、約1カ月半、RWCが占有することになり、サッカーなど他競技との調整が難しい。開会式と決勝戦を違う会場で開催するなどの工夫も必要になる。RWC2019の運営サイドにとっては、入場料収入への打撃は大きく、頭の痛い問題だろう。新しい国立競技場が使えなくなったことで、現在決まっている開催会場は「11」となった。この中ですべての試合を回すのか、新しく一つ加えるのか。これから検討されることになる。
日本ラグビー協会の岡村正会長は、次のようにコメントした。「新国立競技場が、来る2019年ラグビーワールドカップ日本開催時に使用出来なくなったことは非常に残念に思う。しかしながら、大会の成功に向けて全力を挙げていく方針に変更はない」
多くのラグビーファンにとっては辛い時間が続いたが、ここからは前を向いて進みたい。RWC2019は、日本ラグビーの未来だけでなく、世界のラグビーの未来がかかっているのだから。今年の9月、10月にイングランドで開催される第8回RWCまで、ホスト国は、世界のラグビーをリードする強豪国に限られてきた。『1987年=ニュージーランド、オーストラリア共同開催、1991年=イングランド、1995年=南アフリカ、1999年=ウェールズ、2003年=オーストラリア、2007年=フランス、2011年=ニュージーランド』
2011年大会の招致レースに敗れた時、日本ラグビー協会の森喜朗会長(当時)は「伝統国でいつまでパスを回すのか」と世界に発信した。2019年大会は、RWCが伝統国の枠から飛び出して初めて開催される大会。もし、これが失敗に終わればRWCは再び閉じた世界で行われることになる。なんとしても日本大会は成功させなければならない。それがラグビーを愛する世界中の人々の想いだ。これは日本のラグビー関係者、ラグビー愛好家にとって、全身全霊を捧げるに値する大仕事だ。思わぬところで躓いてしまったが、これから4年、悔いのない時間を過ごさなくてはいけないと思う。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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