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昨夜は、京都の清華園主催の第1回トークライブだった。ゲストは元日本代表の細川隆弘さん。京都の出身で、伏見工業高校でラグビーをはじめ、同志社大学、神戸製鋼でプレーした。神戸製鋼V7の中心選手の一人でもある。いまは自営業でラグビーから離れているが、面白い話をたくさん聞かせてくれた。
冒頭は、神戸製鋼が三連覇を達成した三洋電機との死闘のクライマックスのシーンを細川さんが解説するスタイルで始まった。これがあまりに面白く、あっという間に30分。イアン・ウィリアムズ選手のスパイクが脱げたシーンや、平尾誠二さんのガッツポーズが某選手の顔に当たるところは、ストップモーションで解説が入って爆笑の連続。「僕、平尾さんの従兄弟だということを隠して伏見工業に入ったのですが、バレた瞬間に一軍になりました(笑)」。「従兄弟なのに平尾二世とは言われず、男前の薬師寺が平尾二世と言われて…(笑)」。鉄板ネタも続々。
ウィリアムズ選手のトライで、16-16の同点となり、細川選手のゴールで勝利が決まったわけだが、そのキックについては、高校の頃からのイメージトレーニングがあったからこそ、冷静に決められたとのことだった。高校時代の山口良治監督と2人でプレースキックの練習をしたことがあった。山口監督がぶつぶつ言いながら蹴っていた。よく聞くと、試合の状況をしゃべっている。「それを聞いたとき僕は笑う気になれなくて、イメージして蹴るということだなと思ったんです。それからキックの練習では、大観衆と最後の勝利を決めるところを思い描いていました。そのままの状況が現実になったのが、あの瞬間だったのです」。
細川さんの代表デビューは、1990年のワールドカップアジア予選のトンガ代表戦。1991年ラグビーワールドカップの予選は、アジア・オセアニア地域になっており、サモア、トンガ、韓国、日本のうち、2チームが出場することになっていた。サモアは「ミニ・オールブラックス」と言われるほど強く、日本はトンガと韓国に絶対に勝たなくてはいけなかった。当時のトンガは日本よりも強いと言われていたし、韓国も日本と互角の実力があり、厳しい予選だった。そして、必勝を期した宿沢広朗監督が、プレースキッカーとして抜擢したのが細川選手だったわけだ。なんとこの試合でFB細川隆弘は6PGを決めて、28-16の勝利に貢献している。もし負けていたらワールドカップには出場できなかったし、1995年大会からのアジア単独枠もでなかったかもしれない。そうなれば日本はずっとワールドカップに出られず、代表強化は遅々として進まなかっただろう。改めて、あのトンガ戦勝利の意味をかみしめた。
1時間のトークの後は懇親会。細川さんと僕で各テーブルをまわってラグビー談義に花を咲かせた。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。それにしても、細川さんの胸筋は鍛え過ぎ。思わず、「何を目指してはるんですか?」と突っ込んだ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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