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2年前の対戦では小野晃征の勝ち越しドロップゴールで勝利したグルジア代表に、日本代表は、24-35で敗れた。テストマッチの連勝記録は11で止まった。グルジアがFW戦で優位に立ち反則を誘って攻め込んでくるのは2年前と同じだったが、日本代表は予想以上にスクラムで圧力を受け、攻めてはミスを連発した。
ルーマニアやグルジアのようなセットプレー中心のチームに勝つためには、自分達がコントロールしている攻撃中のミス、自陣での反則は禁物である。相手ボールのセットプレーが増えてしまうからだ。前半10分、最初のトライを奪われたのも、スクラムでの反則、モールのディフェンスでの反則が続いて、ゴール前のラインアウトを確保されてモールを押し込まれたもの。20分には、スクラムを押し込まれてのペナルティートライを与えてしまった。28分、日本代表はセンタースクラムからの素早いボール出しでNO8レレィマフィが抜けだし、サポートしたWTBへスケスがトライして、12-10に迫る。LOルーク・トンプソンがシンビンになり、ヘスケスがFLの位置に入っていたことが吉と出たトライだった。
その後も日本代表はスクラムで圧力を受け続けた。何度もスクラムが崩れた原因になったことで「コラプシング」の反則をとられ、連続攻撃を仕掛けながらミスを切り返されて失点するパターンが続いた。後半27分、ようやくミスのない連続攻撃でWTBへスケスがトライし、25-17として勝利に望みをつないだが、PGとトライを追加されて突き放された。最後のトライも自陣からの攻撃中にパスカットされたものだった。
世界の強豪国とワールドカップ本番で戦えば、ボールを確保する時間を長くしないと勝つことはできない。それが分かっているから、エディー・ジョーンズヘッドコーチは、ボールを保持して攻撃を継続できるアタッキング・スタイルを標榜している。この11月は、いろんなタイプのチームと戦うことで、来年のワールドカップへの課題を見つけるマッチメークがなされた。自ら苦しい状況に身を置いたわけだ。本番を見据えれば得難い経験を積めたというところだろう。強豪国のフィジカル面の進歩も著しいということも体感できたはず。先週、日本代表に惜敗したルーマニア代表は、今週、カナダ代表を18-9で下した。ヨーロッパの二番手グループも、ワールドカップに向けてチーム力を上げてきている。
日本代表がワールドカップで同プールとなるチームには、ルーマニア、グルジアほどスクラムに全力を傾けるチームはないが、セットプレーの強化は引き続き日本代表の課題である。スクラムで苦しめられそうなのは、南アフリカ、スコットランドだが、圧倒されないところまでは持っていきたい。ワールドカップで勝つことの難しさを痛感する11月の日本代表シリーズだった。
■エディー・ジョーンズヘッドコーチ
「テストマッチではセットピースを獲得できないとゲームプラン通りに進めるのは難しい。このような経験をグルジア戦で得て、そこから学ぶことがあったので良かった。明らかにフィジカルを強くしていかなければならない。スクラムはいくらテクニックがあっても、グルジアのようにテクニックもあり大きな相手には勝てない。スクラムは強化されているが、まださらに強化していく必要がある。アタックに関しては今シーズン通して個人のミス以外のところは良かった。グルジアには負けたが、シーズンを通してテストマッチ10試合で9勝1敗というのは喜んで良い成績だ」
■畠山健介ゲームキャプテン
「試合に負けたのは残念だった。FWはセットピースをもっとレベルアップできる。スクラムは試合を通してずっと劣勢だった。スクラムはいきなり強くなったりするものではないので、フィジカルの強化と8人で戦うというマインドをしっかり確立していく必要がある。2年前の試合もスクラムでプレッシャーを受けているが、メンバーもルールも変わっている。ただ、この試合はスクラムが決め手だったということに尽きる。セットピースが安定したらもっといいチームになることができるし、ワールドカップでも勝てる。これでチームは一度解散になるが、自分のチームに戻ってもインターナショナルレベルということを意識してプレーしていきたい」
■五郎丸歩バイスキャプテン
「勝ち続けるということがいかに難しいかわかった。ただの敗戦にするのではなく、ここから学んでレベルアップして、ワールドカップで自分たちが目指しているところにいけるようにしたい。個々の能力をもう少しプラスしていかないとワールドカップ初戦であたる南アフリカとの戦いは厳しくなる。11連勝できたし、ワールドカップまであと10ヶ月ある。所属チームに戻るがもう一度見直して、学んだことを忘れずに来年の春、また集合したい」
■リポビタンDツアー2014
日本代表第2戦 対グルジア代表結果
11月23日(日)17:00キックオフ
(日本時間:11月23日(土)22:00キックオフ)
日本代表●24-35○グルジア代表(前半10-17)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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