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土曜日は東大阪市の近鉄花園ラグビー場にいた。グループBの2試合が行われたのたのだが、ワイルドカードトーナメント進出、トップリーグ残留を巡る熾烈な戦いとなった。
第1試合では、勝ち点なしで負ければ自動降格が決まるNTTドコモが、豊田自動織機相手に今季のベストともいえるパフォーマンスを見せる。FBフィルヨーンのロングキックで相手陣に入り、ボールをキープして連続攻撃。豊田自動織機の反則によるPKからタッチに蹴りだし、マイボールのラインアウトを得る。ドコモの強みを生かす戦い方ができていた。
ドコモは、SO茂木のフラットなパスにフィルヨーンが走りこんで先制トライ。豊田自動織機もゴール前のPKからの速攻でFBハイレットペティがトライを返したが、ドコモは24分、モールからLO熊谷がトライして12-5とすると、前半にもう1トライを追加。後半4分には、茂木の高いキックパスをフィルヨーンが相手と競り合ってキャッチし、早々に4トライ目をあげた。最終スコアは、38-12。4トライ以上のボーナス点を獲得しながら勝って、勝ち点を14まで伸ばし、この時点で7位の九州電力の11点を抜き、6位のコカ・コーラウエストと並ぶ最高の結果を手に入れた。マンオブザマッチは、好判断でFWを牽引した箕内拓郎。この日がトップリーグ102試合目だった。
自動織機は相手陣になかなか入れず、NO8カンコウスキー、CTBヴァカジョセフがシンビンになるなど、気迫がカラまわりし、勝ち点をあげられず、総合23点にとどまった。同時刻に行われていた試合では、リコーがクボタを下し、勝ち点5をあげ、この時点で25点、自動織機を上回ってワイルドカード進出を決めた。
図らずも両監督から、「経験値」という話が出た。「崖っぷちでしたが、プレッシャーを感じすぎるといいプレーができないことを経験してきたので、今回はいい緊張感でできた」(ドコモ・下沖ヘッドコーチ)。一方、豊田自動織機の田村監督は「修羅場の経験の差はあったと思う。ドコモに気迫とプレーで上回られてしまった。素晴らしいゲームをしたドコモにかなわなかったです」と完敗を認めた。
花園の第2試合は、勝ち点22の近鉄と、20のNTTコミュニケーションズの戦い。NTTコムが先制したものの、その後は近鉄が地域的に押し気味に試合を進め、FLトンプソン、SO坂本らが次々にトライをあげ、FB高のプレースキックも好調で、後半2分までに28-7とリードを広げた。しかし、NTTコムも反撃。ゴール前に迫ったが、スクラムの反則でチャンスを生かせず。その後も再三攻め込みながら、近鉄の粘り強い防御にトライラインを越えることができなかった。23分、近鉄は途中出場のWTBギアがトライをあげて、35-7とし、28点差として安全圏に入った。コムもトライを返したが、近鉄もPGを追加し、38-14で快勝した。
この結果、近鉄は勝ち点を27とし、クボタ、リコー、豊田自動織機とともにワイルドカード進出を決めた。近鉄の前田監督に笑顔はなかった。「前半、もっと点がとれたはず。今季は攻めきれないことが多い。ワイルドカードで目指すラグビーを求めていきたい」とさらなるチーム力アップに力を込めた。NTTコミュニケーションズは、入替戦に進む。林雅人監督は「選手は頑張った。負けたのは指導力の至らなさ。入替戦には勝ってトップリーグに残り、来季につなげたい」と語り、意を決して攻撃的に戦った近鉄を称賛した。
他会場も含め土曜日の結果は以下の通り。この結果、明日の結果を待たず、東芝がプレーオフ進出を決めた。
■トップリーグ2ndステージ最終節結果(18日分)
リコーブラックラムズ○28-13●クボタスピアーズ(前半7-6)
サントリーサンゴリアス○22-19●ヤマハ発動機ジュビロ(前半13-0)
NTTドコモレッドハリケーンズ○38-12●豊田自動織機シャトルズ(前半19-5)
近鉄ライナーズ○38-14●NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(前半21-7)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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