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月曜日は、京都府立桂高校ラグビー部の取材に行っていた。これは、今月発売のラグビーマガジン2月号に掲載されるものだ。19年ぶりに、伏見工業と京都成章という強豪校の牙城を崩し、全国大会出場を初めて勝ち取った、今注目の高校である。

写真は午後4時からの練習が始まった直後にFW陣が集まっているところ。部員は選手だけで49名。土のグラウンドはとても広いが、陸上部、野球部、サッカー部らとの共用で、常設のゴールポストもなく、雨の日はグラウンドの使用は禁止されるという、けっして恵まれた環境ではない。杉本監督は数学の教諭で、鳥羽高校、洛北高校、洛水高校と府立高校を転々とし、平成15年に桂高校にやってきた。鳥羽にはラグビー部はないのだが、洛北、洛水で実績を残し、桂高校でも5年連続で全国大会予選のベスト4に導き、今春は伏見工業を破り、全国大会予選決勝では京都成章を破って悲願の優勝を成し遂げた。
インタビューは刺激的だった。京都教育大学の2年生でラグビーに出会うまでの人生だけでも本を一冊書けそうなくらいに面白いのだが、今回は桂高校の取材なので、そこは楽しませてもらって、ラグビーに没頭してからの話を軸に聞いた。杉本先生の根底にあるのは、「スポーツは楽しまなければいけない」ということ。だから、とにかく選手達を楽しませる。どの高校でも部員を50人前後は集める。「だって、ラグビーって15人でやるもんでしょう?各学年に15人を集めないと。それくらい、集められるでしょう?」と笑顔で語る。
部員勧誘は、声掛けと、説明会。普通は優しい言葉で誘っておいて、入ってみるととんでもなく厳しい世界が待っているのだが、杉本監督のチームは本当に楽しそう。この日も、ただ走る練習とか、痛そうな練習は一切なく、片づけも3年生がする。ただし、普段の生活を真面目にしないと試合には出してもらえない、という別の厳しさはあるようだ。
詳細は誌面で書きたいのだが、「公立高校で、お金をかけなくても、芝生のグラウンドがなくても、花園に出られる。日本一を狙える。それを証明したいし、分かってほしい。大阪だって、やれますよ。あきらめている人が多いんじゃないかな。僕だって、ずっとやってきたら出られたじゃないですか」と、全国の指導者にエールを送る。ちなみに、全国大会予選27回目の挑戦だった。洛北高校の監督時代に、大西鐵之祐さんや天理の田中克己さんら、名指導者に出会えたことが今の杉本先生の基礎になっている。先生に今後のことを問うと、「80歳までやろうと思っているんですよ」と、どんな形であれ、コーチをとことんやる覚悟を決めていた。「こんな面白いスポーツ、ないじゃないですか」。
ラグビーもおもろいけど、杉本先生もかなりおもろいなぁ。さあ、原稿書こう。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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