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11月23日(日本時間:深夜)、スペインのマドリードで日本代表対スペイン代表のテストマッチが行われた。日本は紺のセカンドジャージで登場。赤いジャージのスペインと相対した。
前半2分、日本代表はFB五郎丸のPGで先制し、23分までに4本をPG決める。互いに反則が多く試合は途切れがち。日本のディフェンスは安定していたのだが、簡単に止められるからかもしれないが、受けに回るところもあり、32分には、LOトンプソンがプロフェッショナルファウル(反則によって相手の攻撃をスローダウンさせる)で、シンビン(10分間の一時退場)となる。やや厳しい笛ではあった。
強い風、強い日差し,軟らかいグラウンドもあって、日本は思うような攻撃ができない。その間に、スペインのスクラムからのサインプレーでトライを奪われる。スコアは、12-7。優位なはずのスクラムでも反則をとられ、何をやっても流れが悪い日本代表は、廣瀬キャプテンが着実にPGを重ねる選択をし、前半は、15-7。5本のPGでリードする展開になった。
後半も、日本代表は我慢の試合になる。4分、PR平島がラインアウト内の反則でシンビン。しかし、ようやく日本代表の連続攻撃が出始め、HO堀江のトライで、20-7とし、SH日和佐を投入して、さらにテンポを上げる。後半に投入されたLO真壁も激しく前に出る突進を見せ、ゴール前のラインアウトからのサインプレーでFLブロードハーストがトライ。28-7とする。23分には、モールからブロードハースト、28分には、スクラムをプッシュし、後ろをケアしていたWTB廣瀬キャプテンがトライして40-7とリードを広げた。結局、このままスコアは動かず試合終了となった。思うに任せない試合を勝ちきるという意味では、いい経験になっただろう。
スペインの執拗な絡みもあって、テンポのいいボール出しができた時間帯は短かったが、セットプレーの安定が引き寄せた勝利だった。今季、重点的に取り組んできたスクラムで明らかな成果が出ているのはポジティブな評価ができるし、ヨーロッパの環境での試合を経験できたのも貴重だ。しかし、世界トップ10に向けては、まだ足りないことが多いと痛感するヨーロッパ遠征だった気がする。
スコット・ワイズマンテル ヘッドコーチ代行
「先発した選手はハードワークをしてくれた。途中から出場した選手たちもテンポを変えてくれた。(試合結果は)選手全員の努力の賜物だ。テストマッチは最初の10分、20分では勝負がつかない。ペナルティーからタップ&ゴーができなかったから、ショット(ペナルティーゴール)を選択した。得点を積み重ねていくのがテストマッチ。選手たちは遠征第3戦のロシア代表戦からそのことを学んだ。今回のヨーロッパ遠征で、選手たちはどうやってゲームをマネジメントしたらよいのかを学ぶことができたと思う」
廣瀬俊朗キャプテン
「みんながこれまで努力をして、気持ちが入っていたから、前半最初はいいスタートを切ることができた。みんなに感謝している。ただ、まだ100点の出来ではない。チームには伸びしろがある。後半はよく修正し、声をかけあってよくやれた」
マイケル・ブロードハースト
「ヨーロッパ遠征の締めくくりとしては良かった。今日のチームのみんなのプレーに感謝している。前半はもう少し良いプレーをすべきだった。後半良くなったのはボールキープとブレイクダウン。フォワードはスクラムとラインアウトも良くなった。とにかくシンプルにいこうと心がけた 」
山田章仁
「テストマッチなので、一つひとつ(の得点機会に)取っていくことが大事だった。遠征中、ずっと一緒に練習できていたので、みんなと同じことをやるだけだった。個人的には試合に出場して、試合中にでうまくコミュニケーションを取れたことが自信にもなった。まだトライを獲っていないので、今後は試合の中で存在感を出せるようにしていきたい」
■ヨーロッパ遠征第4戦結果
日本代表○40-7●スペイン代表(前半15-7)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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