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ラグビー コラム 2013年6月15日

ウェールズ第2テストマッチ結果

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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最終スコア、23-8。1973年のウェールズ遠征で初めて戦って以来40年、ウェールズ代表と13戦目にして、日本代表の初勝利である。

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6月15日の秩父宮ラグビー場は、2万1062人の観客で埋まった。8日の花園ラグビー場の満員の好影響もあっただろう。ラグビーを愛する人たちの熱が、2試合続けて日本代表を後押しした。日本ラグビーが一体となった勝利だった。廣瀬キャプテンは言った。「大観衆の中でプレーできて感激です。花園でも満員の観客の後押しに幸せを感じました。その感謝を勝利で返したいと思っていました」

午後2時のキックオフ以降、互いのディフェンスが安定していたこともあるのだが、両チームはキックで陣地を刻みながら慎重に試合を運んだ。前半14分、日本代表はFB五郎丸のPGで先制。ウェールズSOダン・ビガーにPGを返されたが、34分、再び五郎丸が40m以上のPGを決めて、6-3とする。

セットプレーでのミスや反則などでいくつかボールを奪われることがあったが、おおむね安定。終盤には相手ボールのスクラムでボールを奪うシーンもあった。地域を獲るキックなどのミスもあったが、きょうの日本代表には、そのミスを致命傷にしない我慢強さがあった。後半早々にウェールズのWTBトム・プライディーにトライを奪われたが、ウェールズのミスをついて攻め込み、連続攻撃からCTBクレイグ・ウイングが右コーナーに飛び込んだ。このトライに至る直前、五郎丸の突進でできたラックサイドをWTB廣瀬が突破し、ディフェンダーを下げたことが、このトライを生んだ。素晴らしいプレーだった。

これで13-8とした日本代表は、19分にも、SH田中のロングパスからCTBサウ、FLブロードハーストとパスがわたってトライ。22-8とした。27分には、田中に代わってSH日和佐を投入。真壁、畠山らも次々に出場させてテンポアップし、じっくり攻めることも織り交ぜて上手く時間を使った。36分、WTB福岡の思いきりのいいカウンターアタックにウェールズがハイタックルの反則。五郎丸のPGが決まったところで勝負が決まった。歓喜の秩父宮ラグビー場。あちらこちらで握手し、抱き合い、涙する観客の姿があった。

長らく日本ラグビーを見続け、応援し続けた人々にとっては格別の勝利だった。

ウェールズのマクブライドヘッドコーチは、「何度も22mライン内に入りながらチャンスを逃した。プレーの正確性を欠いていた。日本はよくコーチングされたチーム。時間を追うごとに、どんどん強くなった」とコメント。ウェールズの記者に「これはウェールズラグビーの後退につながるか」と問われ、「それはない。我々はこの経験を次に生かすことが大切。数年後にこのメンバーから何名が代表のレギュラーをつかんでいるか。このまま終わらせるわけにはいかない」と話していた。

エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは、こうコメントした。
「チームを誇りに思う。キャプテン廣瀬も素晴らしいリードでした。満員の観衆にも感謝しています。ウィニングポイントは、スクラムでしょう。相手に圧力をかけ、ときに奪うこともできた。そして、選手のファイトする気持ち。何度も何度も起き上がってタックルする。チェイスする。シンプルなことを激しく、80分やり続ける。そうしたファイトを80分間できなければ大試合に勝つことはできません。ただし、まだ世界トップ10への道のりは遠い。方向は間違っていないので、ハードワークを続けていきます。我々には日本ラグビーを変えていく使命があるのです。明日も練習して、カナダ戦に備えます。名古屋には勝ちに行きます」

次は、19日、瑞穂ラグビー場でカナダとの対戦となる。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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