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2013年1月2日、国立競技場で行われた全国大学ラグビー選手権準決勝は、帝京大学と筑波大学が勝利し、1月13日の決勝戦に駒を進めた。4連覇を狙う帝京に、初の決勝進出となる筑波が挑む。
筑波大学の古川監督の言葉を借りれば、「強い帝京と、上手い早稲田」の戦いとなった準決勝第1試合は帝京が強さを存分に見せつけた。トスに勝って風下を選ぶと、主にFW周辺を攻めながらボールを確保して、じわじわと前進する。早稲田もCTB布巻らが何度かボールにからんでターンオーバーしてチャンスをつかみ、SO小倉のPGで先制し、13分にはモールからHO須藤がトライして、10-0とリードした。
しかし、スコアはここまで。スクラムが劣勢になったこともあって防戦一方となり、風上に立った後半はボールをキープして攻めようとするのだが、工夫された攻めがなく、縦横に張り巡らされた帝京防御網を崩せず終わった。逆に帝京は、グラウンドを横幅いっぱいに使いながらボールを動かして、FLイラウア、NO8李らが着々とトライ。貫録を感じさせる勝利だった。
「後半は無理に攻めなくてはいけない状況になってミスが多くなった。点差がすべてです。まだまだ帝京との距離はある。遠い背中を追いかけている状態」と、早稲田の後藤監督。帝京の岩出監督は、「前半から我慢して、しっかり戦ってくれた。いい集中力で戦い、いいコミュニケーションがとれた試合でした」と喜びを語った。
第2試合は、前半、風上に立った東海大が21-5とリードしたことで俄然白熱した。大型FWのアグレッシブな突進、両CTBを軸にした堅実なタックル。のびのびとプレーする東海大は、BKのサインプレーなどで何度の防御ラインを破った。だが、個人技の優れた筑波に強風の中での風上で16点差は少なかったかもしれない。
筑波は、後半9分に、SO片桐がPGを返して、8-21と反撃開始。16分には、LO鶴谷がCTB中靏がタックルされたボールを素早く拾ってトライ、その後もトライとPGを追加して、23-21と逆転に成功した。互いにミスもあってボール保持が二転三転する展開が続いたが、最後の10分は見ごたえがあった。33分、東海大は粘りの防御で筑波の猛攻をしのぎ、ミスを誘って自陣ゴール前から一気にボールをつなぎ、最後はPR平野がトライして、26-23と逆転に成功する。しかし、直後のキックオフのボールを切り返そうとした東海のキックを筑波がチャージ。転々とするボールをFL粕谷がトライして再逆転。そのまま逃げ切る劇的勝利となった。
勝った筑波の古川監督は「クロスゲームを勝てたことは、選手の成長を感じています」と笑顔でコメント。冷静なコメントで知られるFB内田啓太キャプテンは、「前半は緊張してハンドリングミスが起きましたが、後半は終始ペースに握れて、PGで3点を獲ったところで、いけると思いました」と淡々と話した。初の決勝進出については、古川監督が「最高の舞台で、最高のプレーができるように準備したい」と意気込みを語った。
敗れた東海大学の木村監督は、ピッチ上で選手達の労をねぎらい。涙を流した。会見の最後には、自らマイクを握って報道陣にこう語った。「今年も一年間、ありがとうございました。シーズンの最後に国立まで来られました。(今季のチームは)いいチームでした。もう一段、ステージを上げられるように頑張っていきます」。報道陣も思わず拍手のさわやかな幕引きだった。
■試合結果
早稲田大学 10-38 帝京大学(前半10-7)
東海大学 26-28 筑波大学 (前半21-5)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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