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久しぶりにお目当ての選手を一目見ようと動かないたくさんのお客さんを見た。東芝ブレイブルーパス対パナソニックワイルドナイツ戦直後のことである。もちろん、視線の先にはソニー・ビル・ウィリアムズ(SBW)がいる。12,289人の観衆を集めた秩父宮ラグビー場で、SBWが得意のオフロードパスを連発して、スタンドを大いに沸かせた。柔らかなステップワークで、タックラーを翻弄したり、ディフェンスライン全体を引き付けて、WTB山田のトライをアシストするなど、ハイレベルのパフォーマンスを見せた。
ただし、勝利したのは東芝だった。「相手より先に当たる」(豊田キャプテン)ことを意識して、激しく前に出た東芝FWの勢いに、パナソニックは終始受けにまわった。前半のスコアこと、15-10と東芝の5点差リードだったが、大半の時間は東芝が攻めていた。望月、大野、ベイツ、リーチらが次々に前に出て、ブレイクダウンも全員が低く前に押し込んでいた。
パナソニック3点リードで迎えた前半11分のトライは、ゴール前のラインアウトからのドライビングモール。ベイツが押さえた。28分、WTB宇薄の左コーナーへのトライは、SBWのタックルを受けながら、かろうじて内側に足を残してのトライ。これは大きかった。宇薄のマンオブザマッチがうなづけるトライだった気がする。
SBWのトップリーグ初トライは、前半24分、ゴール前のラインアウトからのサインプレーで、走り込んだもの。HO設楽のロングスローを直接キャッチした。僕は後方でFWがキャッチしたあとの走り込んでくるサインが崩れたのかと思ったのだが、設楽選手に確認したら、最初からのサインだったようだ。「僕のパスがちょっと短かったから、そう見えたんですかね。結果オーライです」と設楽選手。
攻めてはパスミスなどを繰り返すパナソニックに対して、東芝は後半も激しく前に出て、トライを追加。32-22で勝利した。「ブレイクダウンでいかに前に出るかにフォーカスした。選手が全力を出してくれた結果です」(和田監督)。SBWは、「トライは嬉しいけど、チームが負けたことが残念。多くのファンに温かく迎えてもらったのに、結果を出すことができず、本当に悔しい」と残念そうに話した。
第1試合は、キヤノンイーグルスが、サントリーサンゴリアス相手で序盤は攻勢に出て、CTBベネットが先制トライをあげるなど、客席を沸かせたが、サントリーは前半10分にSO小野がトライを返し、22分には、WTB小野澤が個人で次々にタックラーをかわして左コーナーにトライ。後半もCTB平らがトライを重ねて、点差を広げた。
■トップリーグ第4節結果
サントリーサンゴリアス○42-17●キヤノンイーグルス(前半21-10)
東芝ブレイブルーパス○32-22●パナソニック ワイルドナイツ(前半15-10)
近鉄ライナーズ○48-11●九州電力キューデンヴォルテクス(前半10-6)
トヨタ自動車ヴェルブリッツ△23-23△神戸製鋼コベルコスティーラーズ(前半3-17)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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