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6月17日、秩父宮ラグビー場では、パシフィックネーションズカップの第3節が行われ、サモア代表が日本代表を、27-26という1点差で下し、優勝を決めた。

日本は残念ながら敗れたが、最後まで勝つ可能性を感じる戦いだった。僕はJSPORTSで藤島大さんと解説だったのだが、後半35分にグラウンドに降りた。日本が勝った場合、インタビュアーをすることになっていたからだ。階段を下りたところで、WTB廣瀬俊朗が1点差に迫るトライ。ニコラスライアンの右端からのコンバージョンが決まれば逆転というシーンだった。しかし、無情にもボールはわずかにそれた。
試合前のピッチレベルの気温は30度、湿度は57%。日差しも強い時間が長く、選手には厳しいコンディションだった。日本代表は立ち上がりから攻守によく前に出た。SO立川理道、CTBニコラスライアン、仙波智裕のフロントスリーも機能し、立川とニコラスのループプレーでゴールに迫り、NO8ヘンドリック・ツイがトライ(前半19分)。26分には、仙波が外に伸びながらボールをもらってディフェンスをずらし、小野澤宏時、菊谷崇とパスがつながって左隅にトライ、一時は16-0とリードした。
この後は、反則が多くなってリズムを崩し、2トライを奪われる。ボールを持った選手が前進したときに孤立し、ボールに絡まれて、ノットリリースザボールを獲られるシーンが何度もあった。後半も多かったのだが、ボールを持ち込んだ選手が簡単に倒されること、二番目の選手が相手を上手く排除できていないことが多かった。日本代表が抱える課題である。また、モールでも何度も押し込まれた。大きなサイズのチームにいかに押し込まれないかも経験を積みながら身につけていかなくてはいけない。
現日本代表の良さは、簡単に崩れず、試合の中で課題を修正しながら戦えることだ。後半28分には廣瀬の好ステップで大きく攻め込み、相手のラインアウトのミスをついて、ボールをつなぎ、菊谷がトライ。21-27に迫ると、37分、廣瀬が1点差に迫るトライをあげる。スタジアムの熱狂は頂点に達したが、勝つことはできなかった。「僕、もってるなって思って、コンバージョンが入って喜ぶのをイメージしていたんですけどね」と廣瀬キャプテンは悔しそうに話した。
「がっかりです」とジョーンズHC。しかし、その試合内容には一定の評価をした。「結果は嬉しくないけど、内容は嬉しい。ボールの動かし方も良かった。小さなミスで流れをつかみきれなかった。サモア相手に自分たちのスタイルを全うしようとしたのが、今日の収穫でしょう」。課題が明確になるのも、目指すプレースタイルに迷いがないからだろう。次はフレンチ・バーバリアンズ戦。フランスのトップクラブでプレーする猛者揃いのFWは強力そうだが、そろそろ勝利が見たい。

試合後は、ノーサイドプロジェクトのアフターマッチファンクションがメインスタンドのコンコースで開催された。ご覧の大盛況。子供達が多かったのが嬉しかった。最初のゲストは、元日本代表の大畑大介さん、辻高志さん、そしてそのあと、日本代表選手全員と、エディー・ジョーンズヘッドコーチ、薫田真広アシスタントコーチもやってきて、一言ずつコメントして、ファンの皆さんの中に入り、サインや写真の求めに応じていた。廣瀬キャプテン(写真)は、「勝ちたかったけど、まだ勝つ資格がないということなのかもしれませんね」と、さらに成長を続ける意気込みを語った。ジャンピエール・リーブ氏のサイン入りジャージのチャリティーオークションも行ない、6万円台での落札となった。

■試合結果
サモア代表○27-26●日本代表(前半14-16)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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