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15日(金)の午後4時から、秩父宮ラグビー場で、ジュニア・ジャパンとトンガ代表の練習試合が行われた。平日の夕方にもかかわらず、メインスタンド中央付近はかなりの埋まり方だった(バックスタンドは観戦不可)。1,117人という発表。
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ジュニア・ジャパンは、日本代表スコッドでこれまで試合機会の少なかったLO篠塚公史をキャプテンに、FL村田毅、桑水流裕策、SO田村優らを軸に自陣からでも果敢にボールを動かした。練習試合ということで、トンガもよく攻め、互いに運動量の多い試合になった。ただ、ジュニア・ジャパンは、4日しかチームとして練習できておらず、攻撃の精度も、ディフェンスの組織力も物足りない戦いぶり。攻めてはミス、守っては簡単にタックルを外されて、前半は5-26と引き離された。

後半に入ると、日本代表の薫田真広アシスタントコーチが「前半はトンガと同じ高さ(の姿勢)でプレーしていた」という課題を修正し、低いプレーが出始め、拮抗した展開になった。後半5分、WTB竹中祥のあげたトライは見事。順目順目にボールを動かしながら防御を崩し、最後は、途中出場の17歳、山沢拓也の素早いパスが竹中に渡り、外へのステップでタックラーをかわして右コーナーに飛び込んだもの。客席も大いに沸くトライだった。
LOマイケル・ブロードハーストは、ゴール前のチャンスで力強く2トライ。攻守に幅広く動き回った。FL村田、桑水流もよく働いていた。しかし、この日の観客を喜ばせたのは、高校生・山沢の堂々たるプレーだろう。前半35分、足を痛めたCTB中村亮土に代わって出場すると、SOに入ってタイミングのいいパス、好タッチキックを繰り出し、ステップで相手をかわしてのクロスパントなど、魅せるプレーを連発した。もちろん、ミスもあったし、タックルを外されるシーンもあったが、必ず追いついて捕まえるなど、スピードのあるところも見せていた。エディー・ジョーンズヘッドコーチも喜んでいたという。
当然、試合後の山沢を大勢の報道陣が囲んだ。17歳で強豪国の正代表と戦えるというのは何物にも代えがたい経験である。しかし、当人はあまりにも謙虚だった。「完全にびびりました。トンガは怖かったし、デカかったです。ずっと恐怖心があって、抜かれてトライされたところもあったし、いいプレーをした覚えはありません。トンガのプレッシャーは、おかしいくらいでした。高校生相手なら抜けるところも抜けなかった。竹中さんへのパスも、正直、ボールを受けたらタックルに来たので、怖くてパスしただけです。いい経験になりました。まだまだ国を背負うようなレベルの選手ではありません」。こんなコメントだが、そのプレーを見た人は皆、彼のポテンシャルの高さを感じただろう。
竹中も持ち前のパワーを発揮した。「きょうはボールをこぼして相手に渡してしまって、メンバーにきつい思いをさせてしまいました。納得のいかないところはあります。でも、今の自分にできる精一杯のプレーはしたと思います。選手間で、『ペネトレーター(突破役)になれるWTBが必要だね』という話をしていて、仙波さんに、『ショウなら、なれるんじゃないの』と言ってもらえた。そういうプレーヤーになりたいと思っています」
面白かったのは、キャプテンを務めた篠塚公史のコメント。キャプテンは初の経験らしく、「今回は、一人でも多く、ジャパンに上げられるようにと思ってプレーしました。まあ、私がここにいてはいけないのですが」と語り、山沢について、こんなふうにコメントした。「山沢はきょうまで全然しゃべらなかったんですよ。無口なやつだと思っていた。ところが試合になったら思い切ったプレーをする。能力の高さを感じました。私より、一回りも下ですよ。私が埼玉出身という事も知らないくらいで(笑)。年の差を感じました〜」。
薫田ACは、「素晴らしい経験ができた。一番の収穫は、トンガの正代表と対戦できたこと。プレッシャーを受けながら戦うことができ、選手のポテンシャルが測れた試合でした」と数名、新たに興味ある選手が出てきたと話していた。
■試合結果
2012年6月15日 16:00キックオフ
東京・秩父宮ラグビー場
トンガ代表○45-24●ジュニア・ジャパン(前半26-5)
お知らせ◎女子ラグビーの7人制・15人制トライアウトが実施される。現在、バレーボールの元Vリーグ選手や陸上選手など他競技から転向し、日本代表等で活躍する選手も多い。我こそはと思う方、新しく夢を追ってみたい方、この機会にぜひ。応募締め切りは、6月19日(火)消印有効、メールは当日必着。詳細は、以下のサイトより。
女子7人制日本代表候補トライアウト
http://sevens.rugby-japan.jp/japan/2012/id14236.html
女子15人制関東・関西地域代表候補トライアウト
http://www.rugby-japan.jp/future/women/2012/id14241.html
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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