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土曜日はトップリーグ第12節の4試合が行われたが、どれも熱い試合になった。僕は近鉄花園ラグビー場だった。トップリーグ第12節、第1試合は、コカ・コーラウエストレッドスパークス対トヨタ自動車ヴェルブリッツ。トヨタはトップ8入り、コカ・コーラウエストは残留争いからの脱出をかけ、互いに力のこもった戦いになった。
前半は風上に立ったトヨタペース。1分、コカ・コーラSH香月がスクラムサイドを走り抜けて先制トライしたが、以降は、トヨタSOブレットが相手陣深くキックを蹴り込み、コカ・コーラが蹴り返したボールを堅実にキャッチしてはパスをつないで攻め返した。8分、ゴール前のラインアウトからのモールでBKを巻き込み、CTB山内がトライを返すと、NO8菊谷が連続トライ。前半5トライを畳み掛け、早くも、4トライ以上のボーナス点を獲得した。

コカ・コーラのキックが中途半端な印象だったが、後半は一転して、風上に立ったコカ・コーラがSOウェブのキックで陣地を稼ぎ、反撃に出る。FL豊田将万ら、交代選手も次々に投入し、16分までに21-33まで迫った。その後はトヨタがよく前に出てディフェンスし、攻めきれなかったが、終了間際、「勝ち点で並んだときのために、1点でも特失点差を詰めたかった」(トヨタHO上野主将)と、トヨタがブザーが鳴っても攻めたため、コカ・コーラにチャンスが転がり込む。カウンターラックから連続攻撃。豊田が2つ目のトライで28-33とした。コカ・コーラはこれで、4トライ以上と、7点差以内の負けのボーナス計2点をあげ、なんとか最終節に望みをつないだ。残留争い、大混戦だ。

第2試合は、近鉄ライナーズ対パナソニックワイルドナイツ戦。トップ4にわずかに可能性を残す近鉄の猛攻がスタジアムを熱狂させた。パナソニックのキック処理ミスなどに乗じて2トライを先制した近鉄は、ボールを辛抱強くつないで攻めた。パナソニックも激しいブレイクダウン、スクラムの圧力で対抗し、ボールを奪うと、一気にボールをつないだ。互いにゴール前のディフェンスも粘り強く、力のこもった攻防が続いた。
14-10で迎えた前半終了間際、ようやく近鉄の連続攻撃が実って、俊足WTB李陽(リ・ヤン)がゴールラインに迫ったのだが、パナソニックFB田邉がタックルし、インゴールノックオンになった。李は、後半2分にも自陣22mライン内でインターセプトして約60mを独走したが、ここはパナソニックSOデラーニが懸命に戻って止めた。バッキングアップのディフェンスは足の速さではないってこと。あきらめず、一生懸命戻っていれば、相手がスピードを緩めることだってあるんだから。
近鉄の勢いに押され気味だったパナソニックの中嶋監督は、CTBフーリーを下げ、インパクトプレーヤーのツイを投入し、流れを変えようとした。しかし、17分、近鉄が自陣22mライン内からカウンターアタックを仕掛け、途中出場のWTBギアが自らのパントを捕って攻め込み、CTBイエロメにつないで、22-13と引き離すトライをあげる。しかし、「残り15分、パナソニックはワンランク上の集中力、スキルを見せました」(近鉄・高忠伸キャプテン)という言葉通り、パナソニックは、モールを押し込んでトライを返すと、ターンオーバーからの切り返しで、WTB北川が逆転のトライ。25-22とし、逃げ切った。それにしても、ダニエル・ヒーナンのタックル、ここ一番の突進、すごかった。
「勝てて良かった。もっと前半からちゃんとラグビーをしたい」とゲームキャプテンの堀江翔太は複雑な表情。一方、敗れた近鉄の前田監督は「一泡吹かせようとチャレンジした80分間でした。よく攻めたが、パナソニックのディフェンスの面が崩れなかった。素晴らしいチーム」と相手を称えた。
秩父宮ラグビー場も盛り上がったみたいだが、また録画で楽しませてもらおう。NTTコミュニケーションズシャイニングアークスの木曽一選手が、リーグ戦100試合出場を達成した。おめでとうございます。
■トップリーグ第12節・土曜の結果
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス●35-45○Honda HEAT(前半7-24)
NECグリーンロケッツ●19-28○NTTドコモレッドハリケーンズ(前半12-7)
コカ・コーラウエストレッドスパークス●28-33○トヨタ自動車ヴェルブリッツ(前半7-33)
近鉄ライナーズ●22-25○パナソニック ワイルドナイツ(前半14-10)
続いて、U20日本代表の情報。新監督に中竹竜二氏(38歳)の就任が決定した。コーチングディレクターの役職は、引き続き兼務。U20日本代表は2月4日(土)からS&C(ストレングス&コンディショニング)セッションをスタート。2012年6月に開催予定の、IRB Junior World Rugby Trophy 2012(IRBジュニアワールドラグビートロフィー2012アメリカ大会・JWRT)に向けて始動予定となる。スタッフには、アシスタント兼ストラテジーコーチとして中瀬真広氏(東京ガス)が参加する。
■U20日本代表中竹竜二監督コメント
「2019年に最も核となる世代の代表チームを率いることに責任を感じています。一貫指導の責任者としても、今後2015年から2019年に向かって強化を図る中で、日本の全てのラガーマンの見本となるようなチーム作りをしていきたいと思います。そして、今回こそは上位大会である、IRBジュニアワールドチャンピオンシップへの昇格、つまりJWRTの優勝を目指して強化を進めていきます。チーム作りについては、エディー・ジョーンズ氏、薫田真広氏とも連携し『日本スタイル』を掲げながら、日本代表として点ではなく線でつながる強化をしてまいります。また、選手の所属チームの指導者の皆さまともこれまで以上に連携を取って活動していきます。ラグビーだけに固執せず様々な分野の英知とノウハウをチームに落とし込み、深みのあるチームにして行きたいと思います」
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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