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20日も秩父宮ラグビー場だった。昨日とはうってかわって快晴。グラウンドもかなり乾いている。第1試合は、東日本トップクラブリーグ(TCL)の決勝戦、駒場WMM対神奈川タマリバとの対決。駒場WMMは、TCL昇格4年目で初めて神奈川タマリバクラブを破り、初の暫定1位で決勝に駒を進めた。つまり、これは再戦だった。
互いに的確なタックルの応酬で拮抗した試合になり、前半は14-12で駒場がリード。後半の序盤はタマリバがFWで圧力をかけながら駒場陣内に攻め込んだ。タマリバもよく攻めるのだが、駒場の激しいタックルでミスが出る。駒場FL千葉、タマリバFL清登の背番号7同士がアグレッシブに戦う。
後半16分、左コーナーでトライを防いだタックルには観客席から拍手が起きた。CTB阿部の強烈なタックル、FB斉藤のやわらかいステップワークは特筆もの。対するタマリバは整った組織的攻撃で前進し、23分、タマリバがドライビングでトライして逆転。難しいゴールをWTB笹井が決めて、19-14とする。さらに1トライを追加して24-14。終盤攻め込んだ駒場だが、チャンスのラインアウトを確保できず。そのあとも連続攻撃を仕掛けながら、タマリバの粘り強い防御にあったが、39分、ようやくFB斉藤がトライ、ゴールも決めて、24-21。自陣から最後の攻撃を仕掛けた駒場だが、時間切れとなった。互いに全力を出し切る好勝負だった。
第2試合は、関東大学対抗戦Aの全勝対決だった。先制したのは明治大。SO染山が38mのPGを決める。前半14分、帝京大はラインアウトからのモールでゴールに迫り、FL松永がサイドアタックでゴールラインぎりぎりに迫って、HO白が素早くインゴールに押さえた。明治は自陣からは基本的にキックで敵陣に入ろうとしたのだが、帝京に切り返され、攻めてもミスが多く、自陣に押し込まれた。ハーフタイムで、明治の吉田監督は「明治らしく戦おう」と指示したようだが、前半の明治は、ミスと反則でまったく「らしさ」を出せなかった。
後半も帝京は、SO森田のタッチキックでゴール前に迫り、相手ボールをLOボンドがスチールしてモールを組み、SH滑川がサイドをすりぬけてトライをあげた。これで17-3。明治も、7分にラインアウトのモールからFL竹内がトライを返し、NO8堀江らの力強い突破で攻勢に出たのだが、ブレイクダウンで帝京が激しく絡んだことで、テンポのいい攻撃はできず終い。17-8のまま試合は終了した。前半から後半なかばまでの、帝京の安定感ある試合運びが勝敗の分けた。
明治の溝口キャプテンは「13年ぶりの対抗戦優勝は考えないようにしたが、個人個人に重みというか、プレッシャーはあった」と持ち味が出せなかった一因を語った。帝京の森田キャプテンは「明治は優勝をかけてタフな精神状態で臨んでくる。その相手に勝つことでさらに成長しようと試合に臨みました。ただ、練習でやったことが出なかったので課題は多いです」など、冷静に試合を振り返っていた。
帝京が対抗戦で早稲田、明治、慶応に勝つのは史上初。そして、この勝利で、帝京の対抗戦1位が確定した。実は対抗戦は以前から「優勝」という冠は正式には決めていない。関係者や報道陣の間でそういう言い方をしているだけなので、よく混乱が起きていたのだが、今季より順位の決め方が明文化され、勝敗が3チーム同数の場合は、すべて1位として記録に残すことになった。ただし、大学選手権の組み合わせを決めるときに順位付けが必要になるので、2校が勝敗で並んだ場合は、当該校の勝者が上、3校が並んだ場合は、対抗戦全試合の総得失点数差、総得失トライ数差、総得点、総得トライ数、抽選という順番で順位を決める。今回は、もし、帝京大が最終戦で筑波大に敗れ、明治が早稲田に勝った場合は、1敗が3チーム並ぶことになるので、この順位決めが必要になる。ということで、大学選手権を見据えれば、まだ1位は決まっていない。岩出監督も「1位と言っても、3チームが並ぶ可能性があるということだけでしょう? 次に勝ってスッキリ(優勝を)決めたい」と淡々としていた。
■20日の秩父宮ラグビー場の結果
駒場WMM●21-24○神奈川タマリバクラブ(前半14-12)
明治大学●8-17○帝京大学(前半3-10)
■トップリーグ第4節日曜の結果
福岡サニックスブルース●15-32○NECグリーンロケッツ(前半10-13)
HondaHEAT●16-19○パナソニックワイルドナイツ(前半10-0)
コカ・コーラウエストレッドスパークス●20-27○リコーブラックラムズ(前半6-14)
NTTドコモレッドハリケーンズ●10-62○トヨタ自動車ヴェルブリッツ(前半3-24)
※すみません。当初、トヨタとドコモの結果が漏れていました。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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