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大学決勝戦のノーサイドから7時間ほど経過した。いつもなら、終わったらすぐにこの日記を書くのだが、今回はナンバー誌に掲載されるレポートを急ぎで書いていたため、やっと日記を書き始めている。
きのうの高校決勝を見て、大学も同じような試合だろうと思った。早稲田がBKのスピードでトライをとり、帝京が強力FWの圧力でじわりじわりと前進する展開である。そして、自分達の強みを出し切って戦った帝京大学の連覇という結果になった。帝京は早稲田の高速BKにできるだけボールを渡さないように、ボールをキープ。ツイ、ボンドを中心に4、5人のユニットでボールをリサイクルし続ける。ただ、これは早稲田も想定内のことだったと思う。予想以上に圧力を受けたのは、ラインアウト、スクラムだった。
帝京は早稲田の攻撃起点に圧力をかけ続けた。ブレイクダウンでのターンオーバーも多く、前半6分の先制トライのように、縦攻撃でディフェンスを集めたところで、FWの選手が複数移動攻撃をするなど、トライをとるプランを忠実に実行していた。過去何度も決勝戦を見てきたが、戦法を絞り込んでシンプルに戦うチームが勝つことが多い。帝京は、関東大学対抗戦での3敗で、今季の戦い方を絞り込んだ。SH滑川、SO森田のHB団も冷静にゲームをコントロール。会心の勝利だろう。写真は、放送席のモニター。

吉田光治郎キャプテンは、「毎試合ベストゲームを更新できました。決勝戦は自信がありました。ブレイクダウンは帝京の強み。きょう一番良かったのは、セカンドプレーヤーの判断です。カウンターラックを狙う部分、捨てる部分の判断などを全員ができるようになりました」と語った。スクラムでターンオーバーしてガッツポーズしたことを質問されて、「FW前3人は、しんどい練習に耐えてくれた。頼もしいと感じて思わず出ました」と説明。強力FWを作るために厳しい練習に耐えてきたことを強調していた。
早稲田の辻高志監督はこうコメント。「悔いはありませんが、自分たちの描いたラグビーができず、選手を方向付けられなかった自分の力の無さを感じます。選手は100パーセントの力を出してくれました」。表彰式では、胸を張ってまっすぐに立ち、式後、ゆっくりとタッチラインをまたぎ、深々と一礼した有田隆平キャプテンの姿が印象に残った。
追記◎9日は、トップリーグの最終節が1試合だけ行われた。神戸製鋼が豊田自動織機を下したのだが、大畑大介選手が後半早々に膝を痛めて退場。右膝しつがい腱断裂とのことで、すぐに手術が必要となり、今季のプレーが絶望となった。今季限りでの引退を表明し、「怪我をしたらそこまでが選手寿命」と言って思い切ったプレーを続けていただけに残念でならない。なぜ楕円球の神様はこうも彼に試練を与えるのか。
◎第47回全国大学選手権大会決勝結果
早稲田大学●12-17○帝京大学(前半7-11)
※帝京大学、2年連続2回目の優勝
◎トップリーグ第13節(1月9日)結果
神戸製鋼コベルコスティーラーズ○61-7●豊田自動織機シャトルズ(前半19-7)
◎第18回全国クラブ大会準決勝結果
北海道バーバリアンズ○59-5●名古屋クラブ(前半24-5)
六甲ファイティングブル●22-29○タマリバ(前半5-9)
◎第41回全国高等専門学校大会決勝結果
奈良工業高専●5-24○仙台高専(前半5-7)
※仙台高専、4年ぶり10回目の優勝(宮城工業高専での優勝含む)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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