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ラグビー コラム 2010年9月16日

愛好ライブ・フィットネス編

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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水曜日の夜は、ラグビー愛好日記トークライブだった。新宿の道楽亭で午後7時キックオフ。今回は、日本代表のストレングス&コンディショニングコーチの太田正則さん、サントリーサンゴリアスの長友泰憲選手をゲストに、主にラグビー選手の身体作りについて伺った。太田さんは、175㎝、80㎏という小さな身体で三洋電機のフランカーとして活躍した。同時期には、シナリ・ラトゥ、飯島均、宮本勝文といった錚々たる面々とプレーした。「自分をいじめるのが好きだったので(笑)」と、フィットネスコーチの道を選んだ。長友選手もトレーニングが大好き。そんな2人の話は、ラグビー選手の肉体の凄さを感じさせる興味深いものになった。

Talk1

いまラグビーの代表的なフィットネステストになっている「7ミニッツ」、「ビープテスト」を、実際の信号音を聞きながら解説してもらったり、練習中に装着して選手の心拍数や移動距離、スピード、コースなどがデータ収集できるGPSを紹介してもらったりもした。7ミニッツというのは、簡単に言うと無酸素運動能力を測るもので、80mのコースを使い、走ったり止まったりしながら7分間に何本走れるかというテスト。

ちなみに、一番凄いのは大畑大介選手で、2007年のワールドカップ前、最高の数値を出していたようだ。アキレス腱断裂のリハビリ後である。世界のWTBは16が基準値になるようで、大畑選手はそれくらいは行く。長友選手は「僕はフィットネス苦手なんで」と言いながら、15くらいは行くらしい。こうしたテストは、苦しいときに頑張れるメンタル面も露わになるのだが、日本代表の中で、限界ギリギリまで行ってから、もう一度スピードアップできるという意味で一番凄いのは大野均選手なのだそうだ。

Talk2

GPSの話では、太田さんが指導する大学生にGPSを付けさせ、何も言わずに山を走らせたら、ショートカットしているのがバレたり、きつそうな顔をする演技も心拍数が分かるので意味がないなど、面白い話も。しかし、太田さんも「僕の現役時代になくて、良かったです」と言っていたが、「選手にとっては最悪です(笑)」(長友選手)。

話は多岐にわたったのだが、サントリーは春からの徹底したトレーニングで身体を絞り(体脂肪を落とし)、いま徐々に筋肉を増やしていってるそうだ。シーズン後半には筋肉で体重が増えていく予定で、そのあたりはエディ・ジョーンズ監督がしっかり管理しているらしい。長友選手も春の日本代表の活動からチームに合流したとき、「僕と平さんがついていけなくて」と他の選手のフィットネスレベルの向上を実感したそうだ。これについては太田さんが「日本代表の選手は他の選手が身体作りをしている時に試合をしているので、そういう意味ではハンディがあるんです。でも能力が高いからすぐ追いつくんですけどね」と説明していた。その長友選手が話していた練習が、40メートル12本を2セット、300mメートル走、1キロメートル走と続くとかで、気が遠くなるような練習。

この他、日本代表の堀江翔太選手はバランスボールの上に立ってウエイトトレーングをする、トンプソン選手はバランスボールの上に立ってラインアウトのキャッチの練習をする、長友選手もバランスボールの上でスクワットできるとか、ものすごい運動能力の数々を聞かせてもらって、参加者のみなさんも、口あんぐり、という感じだった(※バランスボールはプロ仕様のもので、一般用のバランスボールの上に立つと、割れてしまう場合があるので絶対に真似しないでください)。

日本代表について5年になる太田さんは、「日本代表選手のフィットネスは着実に向上して世界レベルに近づいています。来年のワールドカップでは最高のコンディションで臨めるよう、自分の役割を果たしていきます」と締めくくってくれた。太田さんと長友選手の誠実な話でとてもいい会になった。太田さん、長友選手、そして参加者のみなさん、ありがとうございました。

追記◎福岡サニックスブルースの走り回るフィットネスは、太田さんも「素晴らしい」と話していて、実際にサニックスのフロントローはバックス並みの数値を出すのだそうだ。スクラムは押すより、耐える方が3倍疲れるらしいのだが、それでも走るサニックスは、実は筋力を使わずに効率よく動く術を身につけているのではないか、と。そんな話もあった。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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