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火曜日の夜は、東新橋のスペースFS汐留で映画「インビクタス」(ラグビーマガジン主催)の試写会だった。僕は先日マスコミ向けの試写会に行ったのだ、今回は試写後に元日本代表の名FL梶原宏之さんとのトークイベントの進行をするための参加。でも、二度目なのに、すごく良かった。一度目より感動したのは不思議だった。
梶原さんは、「3回泣きました」と言って、感想を述べた。感動ポイントは人によって違うので書かずにおこうと思うけど、一つだけ書くと、「スプリングボクスとオールブラックスがグラウンドに出て行くところですね」とのこと。暗い通路から明るいグラウンドへ。これは、ラグビー選手の感動ポイントである。いろんなことを思い出すのだ。「ラグビーの試合の場面はよく再現されている。専門家がそうとう綿密に指導していますね。西サモア(現サモア)戦の南アフリカのサインプレーもそのままでしたよ」と驚いていた。
そう、1995年ワールドカップの試合をよく見ていた人には分かるシーンが満載なのだ。それなのに僕は、決勝戦でマーテンズのキックオフが短いことに、突っ込みを入れてしまった。トーク終了後、当時取材していた記者仲間の美土路さんや深緑郎さん、ラグマガの田村編集長らに突っ込まれた。「あれも、正しいんだよ」。そうでした。わざと低く短めに蹴っていたんだった。そのことについて原稿を書いたことがあったのに、すっかり忘れていた。クリント・イーストウッド監督、ごめんなさい。試写会参加者のみなさん、ごめんなさい。あのキックは実際の試合を再現しています。
約20分のトーク後、梶原さんは、山梨への電車の時間があるため急いで帰って行った。ラグビーが持つ「チカラ」について、とてもいい話をしてくださった。そして、ご自身が監督する日川高校ラグビー部の部員に「必ず見せます」と言っていた。
指導者も選手も見るべき映画だと思う。リーダーとは何か、人を惹きつけるとはどういうことなのか、たくさんのヒントがある。この映画はラグビー人の多くが感動するだろう。そして、多くの日本人に受け入れられる気がしてならない。僕はネルソン・マンデラ大統領が、自分たちを差別してきた白人を赦し、ともに一つの国を作ろうと呼びかける言葉がすべて好きだ。だからきっと何度見ても感動するのだと思う。そして、これは実話なのだ。
さて、水曜日の夜は大阪で試写会&トークイベントである。ゲストは神戸製鋼の元木由記雄さんだ。どんな話をしてくれるのか楽しみ。それにしても、短期間に3度連続で同じ映画を見るのは、高校生のとき、めちゃくちゃ好きだった薬師丸ひろ子の「翔んだカップル」以来である。鶴見辰吾が羨ましくて仕方なかった。っていうのは、どうでもよくって、「インビクタス」である。3度目もきっとたくさんの発見があるだろう。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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