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月曜日(11月2日)の夕方、都内のホテルでIRB(国際ラグビーボード)のベルナール・ラパセ会長、マーク・ミラーCEO、ジョナ・ロムー氏、日本ラグビー協会の真下昇副会長・専務理事が出席して記者会見が行われた。
11月1、2日の2日間、ベルナール・ラパセ会長、マイク・ミラーCEO、キット・マコーネル ヘッド・オブ・ラグビーワールドカップリミテッド(RWCL)、日本協会森喜朗会長、真下昇副会長・専務理事、そのほか、IRBスタッフ、JRFUスタッフらが出席し、ラグビーワールドカップ2019日本大会に向けた、コーディネーションミーティングが実施されたことを受けてのもの。ワールドカップの優勝トロフィー「エリスカップ」も来ていた。

真下専務理事は、「この2日間、チケッティングや組織の作り方まで、一つ一つ詳しくアドバイスを受けました。2019年の大会は、日本だけでなくアジアのための重要な大会になることを強調されました。今後も頻繁に連絡を取り合い、大会を成功させるために力を結集させたていくことになります。IRBは日本政府の支援の必要性を訴えており、今後新政府といい関係を作っていくことも課題となってくるでしょう」と語った。
また、今後は2011年(ニュージーランド)、2015年(イングランド)のワールドカップにスタッフを派遣して運営を勉強させる考えも明らかにし、「国際的に通用する人材を育てていかなくてはいけない」と10年後に向けて人材育成の重要性も強調していた。今回の会合には、各セクションの担当理事や、今後の強化の中心人物となるハイパフォーマンスマネージャーの岩渕健輔氏も7人制代表で遠征中だったシンガポールから帰国して参加するなど、10年後に向けて、日本協会をあげてのものになった。
ラパセ会長は言った。
「2019年大会は、ラグビーの伝統国、強豪国以外で初めて行われる大会になります。日本だけでなく、アジアにとってラグビーのレガシーを残す大会となるでしょう。我々は、日本には選手、ファンの数が増えるポテンシャルがあると思っています。大会は10年後ですが、日本と我々がパートナーシップを結び大会を成功に導きたい」
ミラーCEOはこう語った。
「我々はいま、2011年のニュージーランド、2015年のイングランド、2019年の日本と、3つのホストユニオンと、どれも同じように関係を構築しています。約7週間で48試合の大会には世界中からお客さんがやってきます。今後、大会のリスクマネージメント、選手の移動、チームサービス、メディア対応、ITのインフラほか、さまざまなことが決定されていきます。目標は、プレーヤー、スタッフ、ファンが素晴らしい経験をすること。そして大会の質が回を重ねるごとに向上していくことです」
ジョナ・ロムー氏はプレーヤーの視点で話した。
「私は1995年のワールドカップ・南アフリカ大会に出場し、決勝戦に進む幸運に恵まれました。ラグビーを通して国が変わっていくことを目の当たりにし、一つのスポーツが持つ力を身をもって経験しました。今後、ますますラグビーがグローバル化することは確かで、日本という新しい開催場所で新しい経験ができると信じています。特に若いファンがたくさん生まれることを楽しみにしています」
報道陣からは、具体的な質問がたくさん出た。アジアの他国での開催の可能性について問われたミラーCEOは、こう答えた。「IRBは1か国開催を好ましいと考えています。大前提は大会の成功です。日本以外の国でやれば、当該のチームが移動しなければならず、その国の法律と合わせなくてはいけない難しい面もあります。もし、日本以外の国で開催されるとすれば、よほど説得力のある理由が必要だと思います。大会成功には、開催場所は多くし過ぎないのがキーポイントになります。最終的な決定はIRB理事会で行われます」。この後、ラパセ会長が「過去に開催国以外の国でも行った91年、99年、2007年大会がありますが、アジアの場合、どの場所も初開催となるので、過去の例とは性質が異なります」と補足した。また、ラパセ会長は、2007年のフランス大会で6,000人のボランティアが協力してくれたことに触れ、それぞれの試合場所で同じメッセージを発信していなくてはいけないという、組織作りの重要さにも触れた。
ホストユニオンの得る収入は、ほぼチケット売り上げだけになるが、ミラーCEOは、「これまで開催したすべてのホストユニオンが、チケットの売り上げで大きな収益をあげています。また、ワールドカップはホストユニオンだけの問題ではありません。大会を開催することによって、観光客が増え、ホテル、レストランなどが大きな収益をあげます」と経済効果も強調した。
これから、2〜3か月のうちに、組織委員会が発足する予定だという。また、IRBが今後、日本の代表強化のために相当額の投資を行うことも明かされた。なんとしても大会を成功させたいIRBは、これから10年、ぐいぐい日本を引っ張っていこうとしている。そんな感じを受ける会見だった。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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