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日本時間の土曜日朝、日本代表がトンガ代表と対戦した。立ち上がりは、ピンチの連続だったが、これをしのいで盛り返し、その後は交互にチャンスが生まれる展開になる。トンガは、キャプテンのFLニリ・ラトゥがあらゆる局面にからんでチームを引っ張った。日本も菊谷キャプテンが負けずに活躍し、何度も大幅ゲインしてチャンスを作った。
18分に先制トライを奪われたが、その直後にCTBニコラスのPGで3−7とすると、ニコラスのグラバーキック(地面を転がるキック)に合わせたWTB小野澤がゴールラインに迫り、タックルされたがCTB今村が好サポートで相手選手を排除、FBウェブがインゴールに飛び込んだ。これで逆転に成功すると、一進一退の攻防が続いたが、結局、最後まで逆転されることなく逃げ切ることができた。
後半はトンガ代表が懸命にボールをつないだこともあって多くの日本サポーターが肝を冷やしただろう。終了間際にトライを奪われ、最後のコンバージョンキックが入れば同点という辛勝だった。
SH田中はよく前に出てプレッシャーをかけたし、CTB今村の胸を打つ連続タックル、途中出場LO大野のしぶといタックルもピンチを防いで勝利に貢献した。FL豊田は流れを変えるインターセプトで勘の良さを披露し、PR畠山もフィールドプレーでセンスをあるところを見せたが、やはりLOトンプソン、CTBニコラス、FBウェブに大きな負担がかかっていることは確か。他の選手ももっともっと仕事量を多くしたい。
■ジョン・カーワンヘッドコーチ
「トンガはタフなチームだったが、前半いくつかのトライチャンスをものにすることが出来なかったのは残念だった。選手たちは、激しいディフェンスで良く戦ってくれた。厳しい環境とタフな相手、そして僅差のゲームで勝てたことは選手たちにとって良い経験になるし、我々、日本代表チームにとっては大きな財産となるだろう」
■菊谷崇キャプテン
「結果がすべて。やっと勝利を手にすることが出来ました。勝ったことを素直に喜びたいと思います。残りはフィジー戦一試合。昨年の勝ち星を上回って日本に帰りたいと思います」
最終戦の相手は地元フィジー。世界ランキング9位の強豪へのチャレンジである。
◎日本代表対トンガ代表結果
日本代表○21−19●トンガ代表(前半15-7)
JSPORTSでの解説終了後、その足で府中に向かった。東芝ブレイブルーパスとサントリーサンゴリアスの練習試合を取材するためだ。グラウンドに入ってすぐに、元日本代表SOの松尾勝博さんと出会い、一緒に観戦した。松尾さんとは関西大学Aリーグ時代に対戦したし、西軍でともにプレーしたこともある。最近は高体連ラグビー専門部のコーチングアドバイザーを務めているみたいだ。試合を縦方向から見ながら、なぜ今のは抜けたのか、抜けなかったのかと話しているのはとても楽しかった。
両チームとも日本代表組が抜けているし、東芝の冨岡、ベイツ、ヒルら主力が休んでいたこともあって、互いに若い選手が多い編成だった。試合結果は、33−31でサントリーが勝利したが、互いの激しいブレイクダウン(ボール争奪局面)や力強い突進などが随所にあり見応えがあった。サントリーは、NO8ソンゲタが破壊力抜群の突破を見せたほか、FL竹本が粘り腰のランニングでタックルをかわしながらトライを奪うなど好プレーを連発。CTBに入った有賀も、「身体が小さい分運動量で勝負しないといけないと思っています」と動き回っていた。
東芝のほうは、NO8石澤が力強い突破を繰り返し、新加入のCTBニール・ブリューも安定感のあるプレーぶり。韓国代表の蔡宰榮(チェ・ジェヨン)も、途中出場でパワフルなランニングを披露し、コミュニケーションの問題が徐々に解決されれば活躍しそうな予感を漂わせていた。
2点差の勝利にもサントリーサンゴリアス清宮克幸監督は、「東芝とはプレシーズンマッチでもう一回やりますからね」と、ベストメンバーが揃う8月の試合を見据えて、きょうの結果はあまり気にしていない様子だった。実際、まだ攻守に細かな指導はしておらず、戦略的なことはこれから。それでも、「マイボールのブレイクダウンでは、いい支配ができました。そこは良かったところかな」と淡々と語っていた。
追記◎きょうは「ブログ読んでます」とよく声をかけられる日だった。好カードにラグビーファンのみなさんがたくさん集まったからだと思うのだが、声をかけられるのは嬉しいもの。みなさん、ありがとうございました。これからもラグビーを応援してくださいね。またラグビー現場で会いましょう。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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