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29日は三ツ沢球技場で、関東代表とNZU(ニュージーランド学生代表)の試合を見てきた。朝、大学の後輩から電話があり、「いまどこですか?」と。サニックスのワールドユースが行われている福岡県宗像市のグローバルアリーナからだった。「きょうから来たはんのかと思ってました」。「まだ、東京やねん」。そして横浜へ来たわけだ。

NZは、現在、スーパー14と真っ最中。今回のNZUは5チーム分のプロ選手と若手のアカデミーの選手らがいない布陣なので、関東代表に対してもかなりの危機感を持って臨んでいた。NZ側もこの試合は互角か、劣勢だと考えていたわけだ。関東代表のほうは、トップリーグ、トップイーストの東地区の若手混成軍。試合は、立ち上がりから関東代表が優勢に試合を進めた。
4分、NO8権丈が先制トライ。15分、大きく左右にオープン攻撃を仕掛けて、WTB菅野が右隅にトライ。その後も、SO藤井が好判断で抜け出し、19−10とリードを広げたが、ダイレクトタッチなどのミスで攻め込まれ、SOトンプソンのPG、FLギビンスのトライ、そしてトンプソンのゴールで19−20と逆転を許し、前半を終了した。
後半も、関東代表はキックオフ直後のリターンキックがダイレクトタッチとなるなど、ミスが出て攻め込まれるシーンが続いた。8分、SOトンプソンにPGを決められ、19−23。関東は再三、ブレイクダウンで頭が下がる反則をとられたが、一対一の当たり負けはほとんどなく、果敢にターンオーバーを狙っており、このあたりはトップリーガーの逞しくなった部分でもあった。
10分過ぎ、関東がSH西田のハイパントで攻め込む。13分、交替出場の馬渕のジャッカルからつなぎ、最後は、この日再三力強く突進していたFL竹本が中央トライ。これで、スコアは26−23と逆転。NZUもFWの密集サイドをしつこくついてから展開し、24分、CTBカフプコロのトライとトンプソンのゴールで26−30と再逆転。ここからは、NZUのしつこいつなぎを関東が切り返す展開。そして、36分、WTB中濱のタッチライン際の快走で攻め込み、SO藤井の突破からのオフロードパスを受けたFL望月がポスト右に走り込んでトライ。ゴールは決まらなかったが、31−30と関東の1点差のリード。この時間帯は、お客さんもかなり熱くなっていた。
インジュリータイムは3分のアナウンス。ここから、ボールは行ったり来たり。互いに攻め合って、緊張感ある攻防のなか、最後にNZU・WTBデーヴ・トンプソンが抜け出して、スタンドから悲鳴があがるピンチだったのだが、藤井が追いすがり、ラストパスをよく戻っていた望月がカットして事なきを得た。「僕、ちょっと手が長いんですよ。良かった」と望月キャプテン。日本人選手のみの編成のなか、接戦をものにしたことについては、「勝ったことに意義がありますね」と笑顔を見せていた。
NZUの監督は、ニコニコドー、ホンダなどで日本ラグビーに長年関わってきたマーク・ミーツさん。「ナイスゲームですよ。最後がトライになれば我々にとってもっと良かったけれど。関東のラッシュアップディフェンスは素晴らしかった。そこがきょうの差でしょう。日本のバックスは大きく、強いプレーをするようになりましたね」と感想を語ったあと、日本ラグビーの質の変化についてこう語った。
「1970年代は、日本のチーム相手にはボールをキープして攻めることを考えていましたが、今は日本のFWもスクラム、ラインアウトでボールをキープできるようになりましたね。1970年頃のBKと合わされば非常にいいチームだと思います。昔の日本のBKは触れることができませんでしたからね」
少し話は変わるけど、この時期、NZの大学クラブでプレーしている選手達というのはアマチュアの選手達だ。そして今後、プロになっていくのは少数派。かつてはNZUにプロの予備軍がいたのだが、いまや世界のプロ予備軍は、16、17歳の選手達であり、高校生年代。そんな流れも再認識しながら試合を眺めた。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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