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金曜夜の秩父宮ラグビー場は、終盤まで勝敗がどちらに転ぶか分からない試合になった。前半7分、NECは、CTBロコツイ、FLサウカワの縦突進で防御を集め、最後は、SO安藤からのロングパスでWTB武井が左隅にトライ。しかし、クボタもSOドゥラームがPGを返して食らいつく。以降も、互いに自陣からはキックを使って陣地を進め、敵陣深く入ってから連続攻撃を仕掛ける繰り返し。前半は11-11で折り返した。NECは、前半終了間際にロコツイが、空中にいる選手へのデンジャラスタックルでシンビン(一時退場)に。
後半6分、クボタはSOドゥラームのPGでいったん14-11とリードしたが、16分、NECは、PKからの速攻でFLマーシュが左隅にトライ。SO安藤が難しいゴールも決めて18-14と逆転に成功。以降は、クボタのCTB吉田が、倒れた選手の顔に膝を落としたとしてレッドカードで退場になり、数分後にFLヒッキーが、パンチングでシンビン(10分間の一時退場)。13人となったクボタは苦しい戦いを強いられ、PGを追加したNECが、21-14で競り勝った。マンオブザマッチは、SO安藤栄次。
NECはスクラムで完全に優位に立ち、クボタの大黒柱であるNO8ケフを自由に動かさなかった。ゲームキャプテンを務めた箕内も、「スクラムはよく押し込んだし、マンオブザマッチは、PR久富だと思ったくらいです」とコメント。ただし、「両チームともイエローカードがあり、レッドカードも出た。恥ずべき事だし、チームのモラル、規律を徹底したい」と残念な表情を見せていた。細谷監督は、「リザーブメンバーが悪い流れを断ち切ってくれたが、この内容では次節の東芝には太刀打ちできない。東芝戦ではベストゲームを見せたい」と語った。
今季好調で期待されたクボタだが、SOドゥラームがトライ後のコンバージョン、PGを外すなど、いまひとつ流れに乗れず終い。攻め込んでのイージーミスも多く、このあたりは、荻原バイスキャプテンが、「練習からイージーミスが出ていた。それは試合に出るものだと実感しました」と話していた。山神監督、鈴木キャプテンともに、「レッドとイエローカードが出てしまったことは、NECにお詫びしなければいけませんし、何よりこの試合を楽しみにされていたファンのみなさんにお詫びしたいと思います。申し訳ありませんでした」と会見で頭を下げていた。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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