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日曜日は、トップリーグの入替戦が行われたのだが、秩父宮ラグビー場はタフな試合になった。いつもは神宮球場側から吹くことが多い風もきょうは逆。トップリーグ昇格を狙うワールドファイティングブルは、前半風上に立ち、SOショーン・ウェブのロングキックを軸に陣地をとり、何度も敵陣深く攻め込んだ。しかし、そのたびに反則を犯し、トライを奪えず終い。しかも、前半28分にウェブが右足を痛めて退場する緊急事態となる。それでも、今季はFBで活躍する由良がSOに入り、CTBにトンガ代表のヴァカが入ってしのぎ、後半は自陣深くからでも思い切って攻撃を仕掛けてトライを狙い続けた。
日本IBMビッグブルーは、防戦一方になるが粘り強く戦い、後半6分、SO加勢のキックのバウンドがワールドFB南の前でIBM方向に跳ね上がったところを確保し、NO8フィリピーネがトライ。16分、ワールドも自陣から由良が仕掛けてつなぎ、最後はヴァカかトライを返す。18分、今度はモールからフィリピーネがトライして再び17-10の7点リード。ここからのワールドの徹底した連続攻撃は見事だった。31分にはWTB沼田が左タッチライン際でチェンジオブペースを使いながらタックラーをかわしきって左隅にトライ。由良のゴールも決まって同点となる。
両チームのサポーターが集ったスタンドは興奮のるつぼ。同点のまま終了すれば、日本IBMの残留だが、1点でも上回ればワールドの昇格である。34分、「リードをされたほうが相手にはプレッシャーがかかる」と日本IBMのFB高がPGを決めて20-17とするが、ここからもワールドは諦めずに攻め続けた。最後は、連続攻撃のなかで倒れた選手がボールを離さない反則で万事休す。しかし、果敢な攻撃と粘りの防御という素晴らしい試合だった。
ワールドにとっては、前半のチャンスを自らの反則でつぶしたのがもったいなかった。それにしても、トップウエストのレギュラーシーズンを全勝で駆け抜けながら、最後の順位決定戦で近鉄に敗れ、この入替戦でも1PG差の惜敗である。号泣する選手がいたのも当然かもしれない。「一瞬のスキをつかれた。メンタル面をもっと鍛えていきたい」と中矢キャプテンは、来季の昇格を誓った。
日本IBMにとっても、もし降格すれば、リコー、セコムら強豪ひしめくトップイーストで戦わなければならない。「勝ててよかった。その一言です。もっともっと高い意識を持って、マイクロソフトカップを狙うようなチームにしていかなければ」と、高キャプテンは残留争い圏内からの脱出を目標にあげていた。
ほんと、興奮する試合だった。ナイスゲーム。
◎トップリーグ入替戦結果
日本IBMビッグブルー○20-17●ワールドファイティングブル(前半0-0)
福岡サニックスブルース○79-10●マツダ(前半48-5)
この結果、日本IBMビッグブルー、福岡サニックスブルースがトップリーグ残留を決めた。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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