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大学選手権決勝戦は、早大が慶大を26-6で破り、2年ぶり14回目の優勝を決めた。あいにくの天候となった国立競技場だったが、23,694人の観衆が集った。写真は、試合終了後、放送席で撮影したもの。

前半はキックでうまく陣地をとった慶應が健闘したが、後半は、ブレイクダウン(ボール争奪局面)で優位に立つ早稲田が、ラインアウト、スクラムのセットプレー、モールでも慶應にプレッシャーをかけ、着々と得点した。後半16分のCTB長尾のトライは、スクラムからNO8豊田がサイドアタックを仕掛けつつ、すぐにSH三井にパス。三井が抜け出して長尾につないだもの。慶應SO川本が豊田にタックルに行くことを見越しての意図的なトライだった。
その後も、慶應の攻撃を前に出るディフェンスで止めきり、HO臼井、LO橋本がトライして突き放した。慶應は早稲田の強力モールを低い姿勢で押し返すなど健闘したが、チャンスは作れず終いだった。ときおりラインブレイクしていただけにチャンスをトライに結びつけられなかったのは残念だったが、それだけ早稲田のディフェンスが堅かったということだろう。危なげのない優勝だった気がする。
昨年の決勝戦で関東学大に敗れたあと、どんな状況でも勝てるチームを目標に強化にあたってきた中竹監督も感慨深げ。「選手達の頑張りに感謝したいです。こんなに嬉しいことはありません。僕の予想を超えるチームになりました」
一方、怪我でこの試合に出ることができなかった慶應の金井キャプテンは「いい試合でした。敗北感というより、互いに力を出し合った試合だったのかなと思います」と潔く語った。
中竹監督は試合前、「本当はボール動かして攻めたいんですけどね」と空を見上げた。降りしきる雨の中では、理想的なラグビーをすることは難しかったが、そうであればFWにこだわってトライできるとことが今季の早稲田の強さでもあった。なにより、一年を通して取り組んだ前に出るディフェンスが機能したのは嬉しかったと思う。今年は早稲田の力が抜けているという評価がもっぱらだったが、当事者にすれば勝つことはそう簡単ではない。権丈キャプテンら、チームを引っ張る4年生がしっかり役割を果たした優勝だった。
◎大学選手権決勝結果
早稲田大○26-6●慶應義塾大(前半7-3)
◎高校東西対抗
東軍△12-12△西軍
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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