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いま、マユセイユのスタジアム「ヴェロドローム」の放送ブースにいる。オーストラリア対イングランドの試合を終えたところだ。戦前は、オーストラリア勝利に楽観ムードが漂っていたのだが、2003年W杯決勝戦の再現は、そう簡単にはいかなかった。イングランドの勝利への気迫は凄まじく、開始直後からボール争奪戦で激しくプレッシャーをかけ、強いタックルでオーストラリアの連続攻撃を乱した。
後半半ば、ウィルキンソンの逆転PGが決勝点となった。イングランドのFWは強かった。優位と思われていたスクラムでのプレッシャーは思っていた以上にオーストアリアを苦しめた。気持ちのこもった会心の勝利だったと思う(最終スコアは、12-10)。
それにしても、これほどミスをするオーストラリアは珍しい。立ち上がりの動きも緩慢でディフェンスのプレッシャーもかけられていなかった。悪い流れを断ち切ろうと後半はボールを動かそうとしたが、動かすたびにミスが出た。劣勢のスクラムを自ら増やしてしまった形だ。冷静さを欠いてのペナルティもあり、戦略、戦術以前に、気持ちの持って行き方が上手くいかなかった気がする。そして、スクラムの修正も本物ではなかったということだろう。

試合が終わり、観衆からの惜しみない拍手が送られる中で、出場できなかったラーカムが泣いていた。グレーガンとラーカムは海外への移籍が決まっており、ゴールドのジャージを着たグレーガン、ラーカムのHBコンビを見ることは、もうできない。決勝トーナメントだから、どちらかが姿の消すのは当たり前なのだが、このコンビ、もう一度W杯で見たかったなぁ。
イングランドの準決勝の相手が決まるのは、数時間後である。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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