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30日午後、パリは快晴だった。今、パリのパルク・デ・プランスの放送ブースで試合の余韻に浸りながら、これを書いている。僕は、さきほどまでJSPORTSで、アイルランド対アルゼンチンの解説をしていた。


キックオフの3時間ほど前に会場入りしたのだが、地下鉄は両チームのファンで満員。ご覧の通り、最寄り駅を降り、スタジアムにやって来ると、周辺はアイルランドとアルゼンチンのジャージをまとったファンであふれかえっていた。緑のジャージのほうが多く感じるのだが、やはりアルゼンチンは元気がいい。ノリノリで歌い踊るアルゼンチンのサポーターを、アイルランドのサポーターが微笑ましく見つめている感じだった。
試合前の会場では、大型スクリーンにフランス対グルジア戦が映し出され、トライのたびに歓声があがる。ウォーミングアップでアイルランドが出てくるとスタンドは大歓声。アルゼンチンサポーターも歌い始める。フランスは、グルジアを大差で下して、勝ち点5をあげ、この時点でプールDの首位に立つ。あとは、アイルランドとアルゼンチンの結果次第となった。アイルランドが4トライ以上とり、アルゼンチンに4トライ与えず、7点差以上引き離しての勝利で、フランスの1位通過、アイルランドの2位が決まる。しかし、アルゼンチンがボーナス点を1でもとれば、アルゼンチンの1位通過、フランスの2位が決まるという条件だった。

午後5時、アイルランドのキックオフで試合は始まった。互いにキックで陣地を取り合う試合なのだが、アルゼンチンSOエルナンデスのキックが多彩なので、それだけでも面白い。何かこれまで見たことのないような試合だった。エルナンデスは、ラグビー史上稀に見る天才プレーヤーだと思う。彼ほどスケールの大きな選手は見たことがない。録画で見る方もいると思うので、内容は控えようと思う。視聴可能の方はぜひ。お薦めです。
試合中、何度も深緑郎さんと顔を見合わせた。こんなことも珍しい。アイルランドもCTBオドリスコルがパスを受ける前の動きで相手をかわす見事なプレーで2トライを生んだが、ラインアウトも不安定だったし、モールも押され、キックの応酬でも劣勢になった。アルゼンチンは、低く前に出るタックルを連発。世界ランキング4位の実力を堂々見せつけた。会場は、8割方アイルランドの応援だったし、主催国のフランスのファンもアイルランドを応援していたはず。その中でも勝つアルゼンチンは逞しかった(写真は、試合後、円陣の中で声を出すSHピチョット)。

一次リーグは、最終戦の南アフリカ対アメリカ戦を残して、決勝トーナメントの顔ぶれが決まった。アルゼンチンは、10月7日、サンドニでスコットランドと対戦する。そして、フランスは、10月6日、カーディフでニュージーランドである。マルセイユでは、10月6日、オーストラリア対イングランド、7日に南アフリカ対フィジー。どれも面白い試合になりそうだ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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