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19日早朝、パリのホテルを出発し、カーディフに向かった。またしても飛行機は遅れた。しかし、僕の席は、15番A席。「15番のええ席」ということで関西生まれのラグビー愛好家には、めちゃくちゃ縁起のいい番号だ。ちなみに、大畑選手がテストマッチのトライ数世界記録を作ったとき、大阪行きの「のぞみ」は、1番A席だった。一番ええ席で、一番ええことがあったわけだ。今回もええことがあるはずである。

カーディフに入ったのは午後2時。ホテルにチェックイン後、すぐにミレニアムスタジアムへ。曇り空。気温は、16度くらい。スタジアムの中に入ると、カーワンHCの会見が始まっていた。「これまでにないほどのディフェンスをしなければならない。80分間選手が集中すること」などと話していた。


練習は最初の20分だけ公開で、あとはシャットアウト。今大会は、報道陣への規制も非常に厳しい。練習後のコメント取材も、ミックスゾーンと言われる限定された場所だけで、バスに近づこうとしたら押し戻された。「日本ラグビーの進化を証明したい」と箕内キャプテン。3年前、この場所で日本代表はウエールズに98点を奪われる大敗を喫した。その時のことを報道陣に質問されての答えである。僕もあの時、この場所にいたのだが、日本のチーム力は間違いなく向上している。いい戦いができるはずだ。

グラウンドはかなり滑るようで、選手もスパイクの選択に気を使っているようだ。最近は、固定式ポイントのスパイクを履いている選手も多いが、取り替え式のスパイクを履く選手は、日本では通常、13ミリか、16ミリのポイントらしい。でも、今回は規定最大限の18ミリを使う選手もいるようだ。僕も実際に芝生を触ってみたのだが、昨夜の雨もあってかなり緩い感じがした。ステップを踏むときは注意しないと滑って転んでしまいそうだ。
きのうの日記で「ウエールズ代表はほぼベストメンバー」と書いたのだが、最近のメンバー編成からするとかなり変更があった。失礼しました。しかし、ベテランのスティーブン・ジョーンズをSO、ジェームズ・フックをインサイドCTBと、卓越したゲームメイカーを2名置くなど、経験豊富な選手と若手の融合したメンバー編成ではある。キャプテンのガレス・トーマス、CTBソニー・パーカーは怪我で欠場。CTBトム・シャンクリンはリザーブに入るが、大会前、Bチームで臨んでくることが予想されたようなメンバーではない。
それでも、こちらのメディアでは日本に「ノーリスペクト」ととらえられているようだ。それはカーワンHCも同じことで、ウエールズのメンバー発表後、日本代表チーム全員(スタッフにも)の部屋に、直筆メッセージを届けたという。内容は、次のようなものだった。
「ウエールズ代表はメンバー発表で、我々に対してノーリスペクトを表してきた。必ずや相手を撃破し、武士道精神を見せつけろ」
JKの怒りは、選手達の闘志に火をつけたはず。歴史的な試合を期待したい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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