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ナンディから車で約30分、さとうきび畑の間を走り抜け、ラウトカのチャーチルパークに到着したのは、午前11時だった。すでにフィジー在住の日本人会のみなさんが集まってきていた。まもなく日本代表も到着し、試合の緊張感が高まっていく。


メインスタンドは満員。国歌斉唱などのセレモニーのあと、キックオフ。前半を風上に立った日本は、ラインアウトをクリーンキャッチ、スクラムも安定、SO安藤のキックパスも決まるなど、いい流れで試合に入り、フィジーのラインブレイクを何度か許しつつも、最後はしつこいカバーディフェンスで失点を最小限に食い止めた。PGで先制されたあとの19分には、ゴール前のラインアウトからモールを押し込んで、LOトンプソンがトライ。安藤がPGを決めた後の36分、ラインアウトからCTB平が縦に走ってポイントを作り、トンプソンがブレイクしてつなぎ、FB立川がトライ。素速いボール出しを連続させて15-3とリードを奪った。
「前半あと2つは(トライが)獲れた」とカーワンHCも語った通り、惜しいチャンスは逃していたが、それはフィジーも同じことで、日本代表の戦いぶりは勝利を十分に感じさせるものだった。LO大野も「前半の最後はフィジーの足が止まっていたのを感じた」と話し、日本代表の選手達も後半の立ち上がりで勝負を決めなければいけないことは重々承知での後半開始だった。
ところが、後半の立ち上がり約10分でミスが続く。最初のキックオフ・ボールをキャッチできず、その流れのまま相手にPGを許し、11分には、PKからのキックがタッチラインに届かずにカウンターアタックを受け、そのままトライを許す。張りつめた緊張感の中でのイージーミスによる失点は想像以上に選手にダメージを与えたようだ。このあと日本代表は足が止まった状態となり、逆転トライを許した。フィジー代表のキャプテン、FLドヴィヴェラタ選手は、「後半ボールをキープして、テンポアップしようとした」と話していたが、日本のミスでフィジーは波に乗った。
後半途中には箕内キャプテンが左足首を痛めて退場したのも痛く、日本代表は統制を欠き、組織が崩壊した。後半途中に投入された選手達には、その流れをどうすることもできなかった。最終スコアは、30-15。前半、課題だったラインアウトも修正され、ボール争奪戦でも健闘していただけに、後半の崩れ方は目を覆いたくなるものだった。後半の立ち上がり、カーワンHCが「12分で3つあった」というミスは確かに痛かったのだが、フィジーはそれ以上にミスをしていた。今の日本にはたった一つのミスが重い。地力の無さの表れだろう。好機での判断ミスもいくつかあった。そのあたりを完璧にこなしてフィジーに勝てるかどうかの実力なのである。試合後、リザーブ席でしばらく立てない選手がいた。この敗戦の重さの証だろう。それだけ選手もこの試合に賭けていた。「ゲームマネージメント」という言葉を、カーワンHCが使っていたが、それが上手く出来る選手がいれば結果は変わっていたかもしれない。
「我々は負けました。勝たなければいけない試合を落としました。しかし、(内容的にも)勝てた試合だったということをポジティブに捉えたい。一人のミスが敗因ではない。15人全員が、後半伸びて行かなくてはいけない」と、カーワンHCは前向きだった。先発HO松原も、反省を口にした後は、「これがスタートだし、ここから落ちないように上がっていくしかない。悪いところは受け止め、自分たちにいいものにしていかないと」と語っていたが、この後の相手の実力からすれば、痛い黒星なのは言うまでもない。
昨日、オーストラリアAは、トンガを60-15で破った。こちらのテレビで後半を少し見ることができたのだが、オーストラリアAは、ワイドな展開でやすやすとトライを奪っていた。そして、トンガも実のところ弱くない。フィジーと同等以上の力があると見ていいだろう。日本代表としては、このまま悪い流れを引きずらないよう、トンガに勝たなくてはいけない。メンバー編成も含めて、カーワンHCがどう修正してくるのか。注目したい。箕内キャプテンは、試合後すぐに病院に向かった。大事に至らなければいいのだが。
追記◎僕としては手痛い敗戦に精神的にはかなり落ち込んでしまっているけど、スタジアムの雰囲気はとても良かった。日本のトライにも歓声が上がったのは嬉しいシーンだった。もちろん、フィジーの好プレーにはその何倍もの大歓声だったけど。こんな可愛い応援もあったのだが…。

村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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